2011 Fiscal Year Research-status Report
再現性の高い免疫性不妊モデルの樹立とその予防・治療の試み
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23500504
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 正裕 東京医科大学, 医学部, 教授 (00232471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 英一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (20074718)
内藤 宗和 東京医科大学, 医学部, 講師 (10384984)
佐々木 啓 東京医科大学, 医学部, 講師 (20384969)
寺山 隼人 東京医科大学, 医学部, 助教 (00384983)
平井 宗一 東京医科大学, 医学部, 助教 (70516054)
曲 寧 東京医科大学, 医学部, 講師 (70527952)
池田 あゆみ 東京医科大学, 医学部, 助教 (90617515)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | マウス / 精子形成 / 精巣 / 精巣上体 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
マウスにおける新しい実験的自己免疫性精巣炎(EAO)モデルの確立のため、A/J、C3H/HeとICRマウスから摘出した精巣・精巣上体・精管を同系のレシピエントマウスの腹膜に縫い付けて50日後に屠殺し、レシピエントマウスの両側の精巣にリンパ球浸潤と造精機能障害が起こることを明らかにした。A/J、C3H/He、ICRマウスには精巣炎の発症率はそれぞれ89%、80%、80%であり、3種間の発症率の有意差はなかった。しかし、3種間の重症度(EAO stage: Itoh et al., 1995)は、A/Jマウス、C3H/Heマウス、ICRマウスはそれぞれ3.3±1.7、1.5±1.0、1.3±1.2であり、有意にA/Jマウスの重症度が高いことが示された。また、どの種類のレシピエントマウスにも、精巣炎のみが発症し、精巣上体炎や精管炎は誘導されなかった。さらに、レシピエントマウスの血清を採取し、同系正常マウスの精巣・精巣上体・精管凍結切片にて、自己抗体の解析を行なったところ、抗精子細胞抗体と抗精子抗体のみが検出された。この方法は簡便かつ確実にEAOを誘導するモデルとして普及しやすいと考えられる。また、A/Jマウスを用いることは、精巣自己免疫疾患研究に有用であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験的自己免疫性精巣炎(EAO)は、精巣抗原に対する自己免疫により、精巣へのリンパ球浸潤と造精障害を引き起こす免疫学的ヒト男性不妊症の疾患モデルのひとつである。従来、マウスにおいては精巣ホモジネートとComplete Freund's Adjuvant(CFA)を混合させ、さらに百日咳死菌静注を追加し、複数回免疫する事によりEAOを誘導してきた。一方、我々は以前より、同系のマウスから精巣生殖細胞(精粗細胞から成熟精子)を皮下に2回注射する事で、アジュバンドなどを使うことなく、EAOを起こすモデルマウスを確立し、その解析を進めてきた。しかし、上記のEAOモデルは、疾患を誘導するために、少なくとも精巣抗原を2回以上注射する必要があり、生殖細胞の採取法や注射法の違いにより、研究施設ごとに疾患発症率・誘導率に差がみられてきた。そこで、今回、一定して再現性と重症度の高い新EAOモデルを確立することで、疾患誘導が困難とされるマウスEAOの研究が他施設でも展開される可能性が広がる。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoで制御性T cellマーカー陽性細胞数を減少させることによる疾患感受性の亢進の有無の解析し、精巣特異的制御性T細胞のEAO制御効果をより客観的に解析する。また、高い疾患感受性のA/Jマウスにおける抗CD4抗体、抗CD8抗体、抗B220抗体、抗CD25抗体、抗FR4抗体のリンパ球分画をmagnetic cell sortingにて採取し、腹腔に移入することで、リンパ球分画による疾患の誘導と制御を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は総額894千円を研究経費として計上し、いずれも消耗品費で、その内訳としては、包埋剤30千円、薬品(各種抗体、リコンビナントサイトカイン)332千円に加え培養・Sorting関連試薬として210千円を計上した。前年度に続き実験動物としてマウス代(食餌含)322千円を計上した。
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Research Products
(4 results)