2012 Fiscal Year Research-status Report
骨梁構造の力学的異方性を考慮した骨体の患者別小規模モデルの構築
Project/Area Number |
23500514
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小関 道彦 信州大学, 繊維学部, 准教授 (50334503)
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Keywords | バイオメカニクス / 個体別モデリング / X線CT / 異方性材料 |
Research Abstract |
生体骨の力学状態を患者別に解析した結果は、筋骨格系疾患の診断や治療に非常に有用である。しかし、医師が利用する一般的なパーソナルコンピュータで扱える小規模モデルでは、骨体を等方性材料としてモデル化されることが多く、より正確に生体硬組織を解析するためにはその材料特性を異方性材料として設定することが求められている。そこで本研究では、以下の二つの研究目的を設定している。 第一の研究目的:海面骨の骨梁構造に起因する骨体の力学的異方性の情報を、三次元医用画像から抽出するアルゴリズムを構築すること。 第二の研究目的:力学的異方性を考慮した小規模患者別モデリングを実施し、等方性材料を設定した従来モデルよりも信頼性の高い応力解析を実施すること。 平成23年度に実施した研究により緻密骨の構造異方性の可視化および数値化を実現しているが、いくつか検証が不十分な部分があったため、平成24年度はまずその検証および問題点の改善を実施した。まず、構造異方性の数値化については、平成23年度は硬組織の連続性に基づいた数値化を実施したが、可視化情報との連携を高めるため、これを軟組織の連続性に基づくよう改変することにより定性的な評価を容易とした。また、有限要素解析モデルに異方性情報を設定する際の問題点を検出し、これを改善した。一方、構造異方性と力学的異方性の関係を把握することを目的として、X線CT装置内の圧縮試験装置を新規製作した。予備実験として、骨と類似した管構造を有する試験片を試作し、それを圧縮した際の挙動について解析モデルとの比較を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下記に示すように、研究はおおむね順調に進展している。 本年度は、初めに、前年度に提案した手法の検証および改善から着手した。まず、平成23年度に実施した研究により緻密骨の構造異方性の可視化および数値化を実現しているが、その性能検証が不十分な部分が2点あった。第一に、可視化手法と数値化手法の実現手段が統一されていないため、両者の性能を共通の指標で評価することができなかったことである。すなわち、平成23年度は硬組織の連続性に基づいた数値化を実施しているのに対し、平成24年度の研究では可視化と同様に軟組織の連続性に基づいた数値化を行い、その性能評価を実施した。第二に、数値化された異方性情報を設定した有限要素モデルの妥当性を検証できていなかったことである。本年度に改めて検証した結果、X線CT画像から数値化される異方性情報が適切にモデルに反映できていないことが明らかとなった。そこで、材料パラメータ設定ツールを新規に開発し、それを用いて材料設定した有限要素モデルを用いて改めて骨の応力状態を解析することを試みた。 一方、構造異方性と力学的異方性の関係を把握することを目的として、X線CT装置内の圧縮試験装置を新規製作した。申請者は、これまでにもX線CT装置内で圧縮実験するための機構を用いていたが、圧縮力が非常に弱かったため十分な実験ができなかった。そこで本年度予算を用いてより高出力のアクチュエータを購入し、構築したものである。そして、骨と類似した管構造を有する試験片を試作し、それを圧縮した際の挙動について解析モデルとの比較を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究において、異方性情報の可視化・数値化について信頼性を高め、それに基づいて個体別有限要素モデルの材料パラメータを設定することが可能となった。また、これと並行して異方性材料の材料試験を試みている。しかし、現時点では両者の連携が不十分である。本研究の最終年度となる平成25年度は、構造異方性と力学的異方性の関係を正確に把握し、より適切な材料パラメータの算出方法について検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は平成23年度に開始して2年間を経過したが、これまでは当初計画で見込んだよりも安価に研究を遂行できているため、次年度使用額が生じている。 最終年度である平成25年度には、当初予算と繰り越し予算を合算した経費を用いて、これまで2年間に得られた研究成果の実証を行う予定である。設備備品の購入は特に予定していないが、本研究の遂行にかかせないX線CT装置の不具合を修理する。そして、本年度に製作したX線CT装置内圧縮試験装置に追加工を行うことにより、さらなる性能向上を目指したい。そのうえで、異方性材料を模擬した試験片を多数作成し、CT観察下での実験を実施する予定である。また、これまでの成果を積極的に対外発表することを計画している。
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Research Products
(2 results)