2012 Fiscal Year Research-status Report
拡大CT画像を用いた小型肺結節の定量的な経時変化の解析に基づく経過観察支援
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23500518
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河田 佳樹 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70274264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁木 登 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80116847)
大松 広伸 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院呼吸器腫瘍科, 副科長 (40415518)
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Keywords | 肺がん / 拡大CT / 経時変化 / 4次元CT / 経過支援観察 |
Research Abstract |
難治がんである肺がん克服のためには検診による早期発見の重要性が指摘されている.近年,CTを導入した肺がんCT検診が施行され,高い肺がん検出率であることが示されつつある.しかし,CTで検出される小型肺結節は数多く,良性病変の頻度が圧倒的に高いことが適切な診断を困難にさせている. CT検診で発見される小型肺結節の非侵襲的で検診者の精神的・身体的負担の少ない高精度な診断法が求められている.最も有効な診断法は拡大CT画像を用いた画像診断であり,拡大CT画像を用いた経過観察は小型肺結節の診断に必須である.本研究は,小型肺結節2千症例の大規模データベースを用いて肺結節の大きさ,濃度情報,辺縁性状,周囲既存構造やこれらの3次元的な経時変化と診断・病理情報を体系的に解析し,科学的根拠に基づいた定量的かつ論理的な肺結節の経過観察支援法を創出するものである.本年度の成果概要は以下の通りである. (1)小型肺結節2千症例の大規模の拡大CT画像,経過画像と診断・病理情報からなるデータベース構築の構築:医療施設の倫理審査委員会の処理手順に従い匿名化処理を施した拡大CT画像,経時画像の収集を継続して進めた. (2)肺結節の大きさ,濃度情報,辺縁性状,周囲既存構造とこれらの経時変化の解析法の開発: (2-1)拡大CT画像を用いた骨,気管・葉気管支・区域気管支,肺動静脈,肺葉・肺区域,心臓,縦隔,横隔膜などの胸部正常構造と肺結節の抽出法を開発した. (2-2)肺結節の位置・大きさ・濃度情報・辺縁性状・周囲既存構造との関係の定量的解析法の研究開発を進めた. (3)4次元CTを用いた呼吸などの生理学的変動と肺結節の経時変化の識別法の開発:4次元CT画像による胸部構造の変動の解析を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究成果は学術論文:1件,国際会議論文:2件,著書:2件,受賞:1件であり,申請時の計画通り順調に進展している.特に,肺がん症例を対象に肺結節の濃度情報に注目し,肺結節内のCT値ヒストグラムを用いて5つのタイプ(α,β,γ,δ,ε)に定量的に分類する肺結節モデルを開発し肺がん予後因子として期待できることを明らかにした.経時高分解能3次元CT画像による疾患の経時変化の体系的な解析を可能にするために,5つのタイプと離散的に表現したモデルを連続的な数値(悪性度スコア値)で肺結節を表現するモデルを提案しその有用性を検証した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は, (1)小型肺結節2千症例の大規模の拡大CT画像,経過画像と診断・病理情報からなるデータベース構築, (2)肺結節の大きさ,濃度情報,辺縁性状,周囲既存構造とこれらの経時変化の解析法の開発, (3)4次元CTを用いた呼吸などの生理学的変動と肺結節の経時変化の識別法の開発, (4)肺結節の経時変化と診断・病理情報の体系的な解析による定量的かつ論理的な経過観察支援法の開発 を実施する.平成25年度は,(1),(2),(3)の研究課題を継続し,主に(4)に関する研究に注力して実施する.肺結節の特徴空間における経時変化の統計的な解析に基づく経過観察支援法を開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・大規模データベースの構築のため研究支援者(1名)を雇用する. ・研究分担者の医学者との連携を密にするため,4ヶ月に1度のペースで班会議を開催して進捗状況の説明並びに開発方針について打ち合わせのための旅費を使用する. ・研究成果発表のため国内外の旅費(国内研究会(年3回),国際会議(年2回))に使用する.また,研究成果の工学・医学系雑誌への投稿経費に使用する.
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Research Products
(10 results)