2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500529
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古川 裕之 北里大学, 一般教育部, 講師 (20406888)
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Keywords | 生体医工学 / OCT / 光干渉断層計測 / 偏光計測 / 生体計測 / 偏光感受型OCT / 前眼部OCT |
Research Abstract |
平成23年10月24日から平成24年7月31日まで、「老眼および緑内障の機序解明、眼内レンズ決定指針の高精度化」と題しての臨床研究を行った。本臨床研究は、眼内レンズの決定の際に使用されてきた超音波生体顕微鏡に対し、開発したOCT装置を用いて、眼内レンズ度数を高精度に決定することを目的として行ったものである。前眼部全体の断層像を一度に取得できる本OCT装置の利点を生かし、眼軸方向の深さ情報だけでなく角膜前後面の曲率半径と水晶体前後面の曲率半径等の形状情報も取得し、これらの物理量を考慮した眼内レンズ度数の計算式から眼内レンズの固定位置を推定した。99例178眼を撮像・解析した結果、術後屈折度数の誤差を低減させることができた(論文投稿準備中)。 また、昨年度に再設計した偏光感受型OCT装置の光学系に用いる偏波保持カップラ等の光受動部品の再選定と解析プログラムの改良を行った。このOCT装置は、偏光感受型OCT装置にこれまで使われてきた偏光調整器や位相調整器などの付加的なデバイスを一切必要とせず、一回の撮像で偏光情報を取得することが可能である。人の抜去歯を本OCT装置で撮像し、従来の強度の断層像に加えて位相遅延の断層像を取得した。しかしながら、参照光路内の偏波保持ファイバと試料光路内の偏波保持ファイバとの僅かな長さの違いによる偏波の分散が原因のゴーストノイズや、ファイバ同士をコネクタで接続したことによるファイバ端面で生じる反射信号等の固定ノイズが多数生じてしまい、本装置を臨床現場で使用する事は不可能であった。これらのノイズを除去するためには、数値的な補正の他、ファイバ同士を融着するなどの物理的な改良が必要であり、科研費の予算内ではまかなうことができなかった。したがって、今後は、物理的な装置の改良を大学内の研究費によって継続して行い、装置の完成後に臨床研究へと展開していく予定である。
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