2012 Fiscal Year Research-status Report
培養心筋細胞機能発現に及ぼす培地内必須脂肪酸の重要性に関する革新的研究
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23500539
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 孝夫 山形大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00142654)
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Keywords | 心筋細胞 / 培養 / 必須脂肪酸 / ラット |
Research Abstract |
1年目には新生児群、胎児群及び培養群の3群間の脂肪酸含有量の比較検討を行って、その傾向をほぼ明らかにしたが、2年目(本年度)にはまず十分なデータの蓄積によって、培養系では新生児群に比して多価不飽和脂肪酸が著しく低値であるとの最終結論を得た。すなわち培養細胞ではω3系及びω6系脂肪酸が著しく不足していることが確認され、このことが培養心筋細胞の機能発現に影響を及ぼすとの本研究の仮説が強く支持された。この結果は、昨年9月の生体・生理工学シンポジウム(札幌)及び11月の日本人工臓器学会(福岡)にて発表するとともに、英文にて論文の投稿準備を進めている。 次にこの結果を受けて、示唆された多価不飽和脂肪酸の培地内添加について、まずω6系のリノール酸を用いてその添加法を検討した。その結果、脂肪酸をアルブミンに結合させることにより、極めて高効率に細胞内へ取り込ませることができること、並びに細胞内では脂肪酸の伸長反応が起こっている可能性が高いことが分かった。またその添加量は、血中脂肪酸濃度付近が最適であることを、培養細胞重量と細胞内脂肪酸量から確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主たる目標は、(1)胎児群、新生児群及び培養群の3群間の脂肪酸含有量の比較検討の結論を得ること、並びに(2)その結果に基づく不足脂肪酸添加法の確立とその効果の検討の開始であった。(1)に関しては、培養系では新生児群に比して多価不飽和脂肪酸が著しく低値であるとの最終結論を得、計測制御学会主催・生体生理工学シンポジウム及び日本人工臓器学会大会にて発表するとともに、英文にて論文投稿準備中である。またこの結果を受けて、(2)に関して、示唆されたω3系及びω6系脂肪酸の培地内添加について、まずω6系のリノール酸を用いてその添加法を検討し、実績の概要に述べたように、ほぼ満足する結果を得、ω3系脂肪酸についても同様の検討を開始している。これらの結果、本研究は当初の計画通り、おおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、今年度と同様の方法でリノール酸取込みに関するデータの蓄積を行い、最終結論を得るとともに、最近開始したω3系脂肪酸(まずリノレン酸)についても同様の方法(アルブミン結合物としての添加)で、その効果について、培養細胞重量と細胞内脂肪酸量で検討するとともに、ω6系と同様な伸長反応の存在が示唆されるかどうかを検討する。もし伸長反応が行われないようであれば、長鎖の脂肪酸類個々の添加も考慮する。またこれらの培養過程での細胞のバイアビリティを拍動の振幅・周期や維持可能日数でも確認し、主たる添加脂肪酸を決定後、その条件で培養した心筋細胞組織の拍動力を測定して、その効果についての結論を得る。 それらの結果は前年度に引き続き国内学会で発表するとともに、国際会議(MEDICON 2013)での発表も予定している。また本研究の前半部分を英文でまとめて論文投稿を行うとともに、後半部分の投稿準備に入る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第2年度もほぼ予定通りに研究が進み、それに伴って研究費の執行も大幅な変更無く予定通りに行って、僅かの額(\9,520)を最終年度に繰り越した。これらは培養に使用する炭酸ガスボンベが年度末にかけて無くなりかけていたが、結局年度をまたいで使用可能であったことなどによって発生した残額であって、来年度当初すぐに使用の予定である。またこのことは次年度の研究費使途にほとんど影響を与えないため、最終年度もほぼ当初の予定通りの研究費使用を予定している。
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Research Products
(3 results)