2011 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドβ線維化促進ペプチドを用いたアルツハイマー病早期診断装置の開発
Project/Area Number |
23500571
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
藤井 敏司 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (80271518)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / アミロイドβペプチド / 診断装置 / プロテインチップ |
Research Abstract |
本研究は、アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβペプチド(Αβ)を迅速、簡便、低コストで定量化することにより、早期診断を可能とするシステムの開発を目指している。本年度は、血漿中の夾雑タンパク質がΑβ線維化に与える影響と血漿中のΑβ濃度を測定できる新しい手法の探索をテーマに研究を行った。我々が開発したΑβの線維化を促進するペプチドとΑβを血清に加えて、線維化の様子を調べたところ、線維化促進効果に影響は無いものの、血清の前処理中に他のタンパク質とΑβが共凝集してしまうことがわかった。また、血液試料を保存する際に用いられる抗凝固剤の影響を調べたところ、一般的に用いられているヘパリンは線維化促進ペプチドの効果を阻害するが、クエン酸ナトリウムやフッ化ナトリウムは阻害しないことがわかった。実際の血漿試料を扱う上で、これらの知見は非常に重要である。また、本補助金で購入したEQCMを用いた測定を始めるにあたり、不明であったΑβ線維化促進ペプチドの線維化促進メカニズムの検討を行ったところ、線維化促進ペプチドは非常に早いβストランド形成能を有しており、通常3~4日を要するΑβ線維化のlag phaseを線維化促進ペプチドが鋳型となることで短縮していることが示唆された。これは、線維化促進ペプチドを用いたプロテインチップの作製、測定条件の設定をする際に重要な知見となるものである。EQCMの測定については、装置の安定性に問題があり、現在販売会社と相談しながら最適な測定条件の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学研究費補助金の全額交付が保留になっていたため、購入予定であったEQCMアナライザーの購入が10月末までずれこんだことで、当初研究を実行してもらう学生のテーマとして別のテーマを与えざるを得ず、装置の活用が充分にできなかったことが、研究進捗の遅延の主な原因の1つである。また、学生のテーマが一段落ついたところで、EQCMアナライザーの本格稼働を開始したが、センサーチップを装着しただけのベースライン測定が安定せず、実際の試料を測定できていないのも遅延の理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、EQCMアナライザーを用いた測定系の構築に向けて、チップの修飾法について重点的に検討を行う。SAM膜の有無、リンカー分子の選択、線維化促進ペプチドの密度など高感度化に向けて、最適な条件を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定対象であるアミロイドβペプチドや、各種試薬、QCM用の水晶振動子などを購入する。また、EQCMアナライザーの測定値安定化について、測定部位の温度を一定に保つのが有効でありそうなので、恒温槽の購入を検討している。
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