2012 Fiscal Year Research-status Report
アミロイドβ線維化促進ペプチドを用いたアルツハイマー病早期診断装置の開発
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23500571
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
藤井 敏司 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (80271518)
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Keywords | アルツハイマー病 / 診断システム / アミロイドβ / 水晶振動子マイクロバランス |
Research Abstract |
アミロイドβペプチド(Aβ)の凝集を促進するペプチド(AβAPP)を用いて、血漿中に微量に含まれるAβを迅速、安価に定量化し、アルツハイマー病(AD)発症の兆候となる認知症状発症の4,5年前に起こるとされる血漿中Aβ濃度の低下を捉えて、AD発症リスクを喚起し、早期診断・治療に貢献できるようなデバイスの開発を目指して研究を行っている。 本年度は、昨年度に科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)により購入した電気化学水晶振動マイクロバランス(EQCM)アナライザーを用いたAβの検出に取り組んだ。EQCM用のセンサーチップとして、水晶振動子に蒸着された金薄膜上に16-mercaptohexadecanoic acidを用いてAβAPPを固定化したものを作製した。本センサーチップを用いてバッチ法によりAβの凝集挙動を観測したところ、感度は不十分ながらも金薄膜上に固定したAβAPPにAβが集積していく様子が観測できた。感度向上を狙ってAβAPP固定化の際のリンカーの長さを系統的に変化させてみたが、現在のところ、目立った結果は得られていない。 また、安価にAβを検出するためのポイントとなるセンサーチップの再利用可能性についても検討した。一旦金薄膜上に固定したAβAPP上に凝集させたAβは、溶媒の液性をアルカリ性にすることによって解離させることができた。また、初期化されたセンサーチップが再びAβを検出できるか調べたところ、良好な結果が得られ、センサーチップは再利用が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Aβ検出感度が予想よりも向上していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、検出感度の向上を中心に進めていく。できるだけ簡便で安価なシステムを構築するために、極力余計な因子を持ち込まないよう、のAβの凝集による質量変化のみでの検出を検討してきたが、限界が近づいているようにも見受けられる。引き続き、シンプルな検出系の検討を継続するとともに、抗体や金ナノ粒子など質量の大きな補助因子の利用も考慮する。また、購入したEQCMアナライザーは水晶振動子の振動数変化だけではなく、電気化学的検出も可能であり、銅イオン結合部位を有するAβの特性を利用した電気化学的検出も試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は114,774円の次年度使用金があるが、これはセンサーチップの高感度化の遅れのために、高額なAβの購入量が予定を下回ったためである。 次年度は、試料となるAβのほか、高感度検出を測るための様々な試薬を中心に研究費を使用する予定である。また、その基礎となる水晶振動子も購入する予定である。
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