2014 Fiscal Year Research-status Report
外傷性脳損傷者の復職指導に関する研究-「職業の認知的要求尺度」作成の試み-
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23500596
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石合 純夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80193241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 祐治 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90585019)
青木 昌弘 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20515788)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 外傷性脳損傷 / 高次脳機能障害 / 神経心理学 / 職業 / 画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「仕事中の記憶など認知的負担に関するアンケート」を作成し、主に外傷性脳損傷による高次脳機能障害患者に対して実施した。アンケート作成にあたっては、まず、認知機能を記憶、注意、遂行機能、行動、知識、視空間能力、処理速度の分野に分け、さらに各分野の機能細目と神経心理学的検査との対応をとった。さらに、認知的な機能細目を要求する代表的な仕事内容を想定して質問を作成した。回答は、平均的な仕事内容の一日を想定して各質問について「ない/少ない、やや少ない、どちらともいえない、やや多い、多い」の5段階から選んでもらう形式とした。例えば、記憶の分野うち、複数の文からなる話を聞きながら整理して覚える「論理的記憶」の細目は、ウエクスラー記憶検査WMS-Rの論理的記憶課題で測定され、仕事内容の1例としては「電話で仕事のやり取りをすることがありますか?」と言う質問に答えてもらうこととした。主要な質問事項は38項目あり、一部に、補足的な質問事項を加えた。 対象は、神経心理学的検査と画像診断により高次脳機能障害ありと診断され、その後、就労に至った13名である。平均年齢は43.5歳(範囲21~62、標準偏差11.6)、就労状況は、一般就労(復職)6名、一般就労(新規)3名、障害者枠就労2名、自営業1名、福祉的就労1名である。障害内容は、論理的記憶障害6名、対人関係の障害2名、遂行機能障害1名、全般性記憶障害+動作性知能低下1名、視覚性記憶障害+動作性知能低下1名、論理的記憶(遅延)障害+言語性知識・理解の障害であった。もっとも多く認められた論理的記憶障害の6名のアンケート結果を例示する。3名は論理的記憶とワーキングメモリの負荷が少ない仕事をしていた。他の3名はこれらの負荷がやや高い仕事に従事しており、そのうち2名が強いストレスを訴えていた。今後、対象を追加して総合的に分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
「仕事中の記憶など認知的負担に関するアンケート」をより多数の高次脳機能障害患者に対して実施する。アンケート結果を記憶、注意、遂行機能、行動、知識、視空間能力、処理速度の認知側面の分野とその細目の点でプロフィールとして分析する一方、神経心理学的検査の結果を同じ分野と細目で得点化してプロフィール化する。これらの照合により、高次脳機能障害の障害内容と仕事中の認知的負荷が適合しているか否かをケースごとに分析し、アンケートが「職業の認知的要求尺度」として、復職/就労支援に役立つことを確認する。最終年度となるので、研究成果の全体をまとめて公表する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究および調査のための出張等が都合により困難となったため残額が発生してしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究および調査のための出張を計画的に実施する。
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Research Products
(21 results)