2012 Fiscal Year Research-status Report
都市部在住高齢者の外出特性と外出頻度低下をもたらす物理的環境因子に関する研究
Project/Area Number |
23500654
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 美芽 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (80347278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 裕 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (50458585)
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Keywords | 高齢者 / 外出行動 / 外出頻度 / 閉じこもり / バリアフリー / 都市環境 / 居住環境 |
Research Abstract |
本研究の2年度である平成24年度は、23年度に実施した東京都荒川区における大規模調査(荒川区重点整備地区指定5地区(公共交通機関拠点駅より半径500メートル以内の地域)に居住する高齢者人口の2分の1(約10,000人)を対象とした郵送調査)の結果の分析を進め、また、自由記載欄に記載された、約5000のコメントの内容別分類作業を進め、都市居住高齢者の考える外出環境の解明を試みた。調査対象者を交通の便が良いと考える主要駅より半径500メートル圏に居住する高齢者に限定したことから、屋外環境のばらつきや地域差をできるだけ排除することができたと考えられ、記載内容の指摘事項は有用な情報となることが期待できる。 また、今年度は、同地域に居住する高齢者180名に対する面接調査を実施し、外出に関する意識の実態の把握を行った。外出先の把握と主に、外出時の持ち物に着目に、日常的に身に着ける衣類、カバン、カバンに入れる持ち物等を把握し、外出時の携帯品の傾向と外出する地域、生活圏等と組み合わせ、外出実態の分析を行っている。 さらに、車いす使用者、視覚障がい者へのヒアリングも行い、高齢者の外出行動と比較することで、高齢者の外出時の携帯品や持ち物の特徴を抽出することを試みた。これにより、高齢者の日常着と外出着の違いや、その使い分けがみられ、外出行動範囲の違いが把握できた。 なお、東日本大震災の発生により、高齢者の外出にみられる被災時対応や発生への不安感が調査結果やヒアリングから明らかになり、災害発生時の行動への関心の高さも把握され、25年度の課題として、検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に東京都荒川区において荒川区都市整備部と共同で実施した大規模調査(荒川区重点整備地区指定5地区(公共交通機関拠点駅より半径500メートル以内の地域)に居住する高齢者人口の2分の1(約10,000人)を対象とした郵送調査)の結果の分析、特に自由記載欄の記述の集計と分析を進めたところ、当初把握した3500件の内容別にみると約5000件に上ることが明らかになり、分析の作業が計画以上に多く時間を要した。 このため、初年度に計画した23、24年度の研究計画よりも、進行が遅れることとなった。遅れを取り戻すため研究補助員を雇用し、作業の効率化、作業速度の向上に努めた結果、24年度の当初計画の大幅な遅れを取り戻すことが可能になり、24年度の計画であった、ヒアリング調査を実施することができた。ただし、当初の遅れを完全に取り戻すことはできず、24年度ヒアリング調査の分析が遅れている。25年度はヒアリング調査の分析を急ぎ、現在の遅れを取り戻すことに努める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である25年度の研究計画は以下のとおりである。 ①研究初年度(24年度)に実施した大規模郵送調査の分析結果を投稿論文として取りまとめ、査読付き雑誌に投稿する。 ①24年度に実施した高齢者180名へのヒアリング調査の結果の分析を行い、都市部居住高齢者の外出に関するさまざまな阻害因子の抽出を行う。特に外出頻度に影響する都市における外出目的物理的因子(都市整備状況)、外出目的、生活圏、活動拠点(外出目的地)、外出に関する不安感、居住習慣、等の因子について、分析を深め、初年度に実施した大規模郵送調査の結果と比較し、より実態に即した分析結果を導き出す。 ③調査の結果、当初予定に含まれていなかった、災害発生時の外出行動について、高齢者は非難に対する危機意識が強く、不安感を持っていることが初年度(23年度)郵送調査及び24年度把握され、興味深くまた、無視できない事項であることがわかり、これについての分析を行うことが必要と判断したため、この内容について当初の分析とは別に分析を進め、高齢者の意識の把握を行う予定である。 ④23年度郵送調査から始まり、24年度ヒアリング調査と調査をより高齢者個人の意識を詳細に把握することに努めてきたが、25年度はさらに詳細な外出に関する意識の理解を進めるため、フォーカスグループインタビューの手法を取り入れて、グループにおける議論から、エピソードを交えた具体的な外出行動に関する意識を抽出することを計画している。この結果を郵送調査、ヒアリング調査の結果、と照らし合わせ、比較した結果を取りまとめる。 以上を25年度の研究計画として推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は調査主体の研究であることから、フォーカスグループインタビューは参加者の会話記録をテープで記録し、実施後にテープ起こしをして逐語文字としてから分析に用いる。したがって、調査会社にテープ起こしの委託を行う費用がかかる。。研究費は主に調査の費用に充てる予定である。その他に、調査対象者への謝礼、調査補助員の雇用、論文投稿費等が主な研究費の支出項目となる。 また、本研究の結果を高齢者に還元するため、高齢者の外出を促すため、リーフレットを作成し、印刷して配布することを計画している。この印刷費用、配布にかかる経費についても研究費からの支出を予定している。 なお、本年度支給額について、残額が発生した。これは、消耗品の購入費が予定額を下回ったことによる。この残額は25年度パソコン基本ソフト購入に充当する予定である。
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Research Products
(8 results)