2013 Fiscal Year Research-status Report
チームスポーツのための心理的コンディショニングに関する研究
Project/Area Number |
23500747
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
蓑内 豊 北星学園大学, 文学部, 教授 (50239331)
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Keywords | メンタルトレーニング / 心理的コンディショニング / チームスポーツ / IZOF / パフォーマンス向上 |
Research Abstract |
本研究は、チームスポーツのパフォーマンスに大きく影響するチームの心理的コンディショニングのあり方について検討し、チームパフォーマンスを高めようとするものである。特に、チームの情動状態を手掛かりとして、チームの気持ちを一つにまとめ、パフォーマンスの安定・向上を目指しており、組織的なチームメンタルトレーニングの構築にもつながるものと考えている。 平成25年度は4年計画の3年目であり、論文1本、学会発表4回、書籍1編を発表した。以下に主要な3点の研究成果の内容を示す。 北星学園大学にて研究会を開催し、スポーツ心理学関係者に周知する機会を持った。「IZOF理論による情動コントロールの技法の実習」(スポーツ動機づけ研究会第11回大会)では、IZOF理論に基づく情動コントロールの考え方を紹介した後、情動プロファイリングテストなどの具体的な実施方法の指導を行った。これは、前年度の日本スポーツ心理学会のシンポジウムで理論的背景を紹介したものに続く内容になっており、スポーツ現場で活用する方法を紹介する機会となった。 「ラグビーの競技特性と心理的要因 ‐チームに求められる要因‐」(日本体育学会第64回大会)では、ラグビーの指導者を対象として、ラグビーに求められる心理的要因をについて、特にチームとして求められる要因について検討を行った。その結果、チームをまとめるための心理的要因として、「目標の共有」「意思統一」「団結力・協調性・忠誠心」「規律」「信頼・尊敬」が関係することがうかがえた。 「Emotional Unifying in the Team by Applying the IZOF Model」(ISSP 13th World Congress of Sport Psychology)では、チームとして情動(気持ち)をまとめる考え方について、事例を交えて紹介を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成23年度~26年度の4年間で研究を行うものである。1年目(平成23年度)は、研究の第一段階として、関連するデータの収集や尺度の整理であり、予備的・準備的調査を実施した。2年目~3年目(平成24年度~25年度)は、第二段階として、スポーツチームにおける心理的コンディショニングの調査、および、スポーツチームへの介入について、ラグビーやバスケットボールのチームを対象に行ってきた。 特にラグビーチームに対する調査では、個人要因として「忍耐力」「目標・動機づけ」「集中力」「責任感」「勇気・闘争心」「自己コントロール」「自信」「協調性」「状況判断」「理解力」「素直さ」が抽出され、さらにチーム要因として、「目標の共有」「意思統一」「団結力・協調性・忠誠心」「規律」「信頼・尊敬」が関係することがわかった。 また、バスケットボールチームを対象として調査からは、情動を手掛かりとして、チームのメンバーでチームパフォーマンスに関連する心理的要因について話し合う過程を通して、チームの気持ちを一つにするヒントを得られることがわかった。このことは、チームとして心理面に対する問題意識を持つことが、チームの心理的コンディショニングにもつながると考えられた。 全体的にはおおむね計画通りに研究を進めることができており、次年度(最終年度)は、これらの研究成果をメンタルトレーニングの手法として整理することや、研究成果を公表することが主な計画目標となる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したように、研究の最終年度(平成26年度)では、これまでの研究成果を参照に、チームに対するメンタルトレーニング手法を整理すること、および、これまでの研究成果の公表が研究計画の目標となる。 チームのメンタルトレーニングでは、ラグビーチームを参考として、メンタルトレーニングの実施方法を提案したい。さらに、研究成果の公表については、北星学園大学においてメンタルトレーニングに関するフォーラムを開催し、そこで広く公表することを考えている。また、インターネットを利用した情報発信についても検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は「15,116円」であり、ほぼ計画通りに研究を実施し、予算を支出することができた。 次年度は本研究計画の最終年度であるため、これまでの研究を継続するだけではなく、研究成果の公表についても積極的に行うことを考慮して、計画的な支出に努めたい。
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