2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAによる組織酸素センシング機構の修飾作用に関する研究
Project/Area Number |
23500770
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 淳一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80261379)
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Keywords | 血管内皮細胞増殖因子 / 低酸素誘導因子 / トレーニング / 毛細血管 / マイクロRNA |
Research Abstract |
昨年度(H24)は、持久的トレーニング初期段階における低酸素誘導因子(HIF)-1αとその標的遺伝子の発現動態、およびmicroRNAの関与を、若年ラットにおいて検討した。H25年度は、高齢のラットを用い、急性運動および運動トレーニングによるHIF-1αとその標的遺伝子の発現動態、およびmicroRNAの発現を検討した。12ヶ月令のWistar系雌ラットを用い、運動トレーニング群(Tr)にはトレッドミル走行運動 (18-20 m/min, 40-60 min/day, 5% grade)を3週間負荷した。急性運動群(AcEx)には、18m/min, 40 min, 5% grade の走行運動を負荷した。トレーニングにより、腓腹筋外側頭内側の赤筋を多く含む部位の毛細血管分布が有意な増加を示した。HIF-1α, 2α mRNAともに、トレーニング後に増加傾向を示したが、有意差は認められなかった。また、 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、VEGF受容体(VEGF-R1)、mRNAも同様の傾向を示し、有意な変化は見られなかった。VEGF-R2 mRNAの発現は、トレーニング後に約2倍の有意な増加を示した。血管新生を促進すると考えられているmiR-194, -199a, -210、また血管新生を抑制すると考えられているmiR-20a, -20b, -195の発現が、トレーニング後有意に増加していた。急性運動では、本研究で観察した全てのmRNAとmicroRNAに有意な変化は認められなかった。以上のことから、高齢のラットにおいても、持久的トレーニングによって骨格筋毛細血管の新生が顕著に生じるが、それはVEGFの発現増加よりもその受容体VEGF-R2の発現増加に起因することが示唆された。加齢によって急性運動に対するVEGF発現応答が減弱することが示唆された。また高齢ラットでは、トレーニング後に血管新生を促進するmicroRNAと抑制するmicroRNA両者の発現が亢進していることから、さらなる血管新生が起りにくい環境になっていることが示唆された。
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Research Products
(4 results)