2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500774
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大森 肇 筑波大学, 体育系, 教授 (20223969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 俊平 筑波大学, 体育系, 教授 (10200130)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
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Keywords | タウリン / 長時間運動 / 血糖低下抑制 / 骨格筋 / 糖原性アミノ酸 / 肝臓 / 糖新生 |
Research Abstract |
長時間運動では血糖が低下し、中枢性疲労の一因となる。我々はラットにタウリンを事前投与した結果、筋タウリン濃度が上昇し、疲労困憊時間が延長すると報告した(Ishikura et al., 2011)。その際、タウリン投与により筋のスレオニン、セリン、グリシンが肝臓に移動し、肝糖新生に使われると推測した。本研究の1年目で、ラットの頸静脈カニューレションにより長時間走行中の経時的採血を可能にし、血糖低下をタウリン投与が抑制するモデルを作製できた。2年目にはモデルの精度を上げ、1)タウリン投与により走行中盤以降の血糖低下が抑制されること、2)特に疲労困憊直前の血糖が高いほど走行時間が長いこと、を証明した。またタウリン投与により肝タウリン濃度は上昇し、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、グリシン、バリン、プロリン、ロイシン、イソロイシンなどの濃度が低下した。さらに、糖新生に関連するG6Pase活性は、タウリン投与群で運動前に既に高値を示した。3年目は、骨格筋アミノ酸の肝糖新生への関与を探るため、足底筋、腓腹筋白色部、腓腹筋赤色部のアミノ酸濃度を測定した。タウリン投与により、足底筋においてタウリン濃度は上昇したが、各アミノ酸濃度を変化しなかった。一方、疲労困憊運動後には多くのアミノ酸が著増し、タウリン投与はそれを抑制した。この現象は腓腹筋白色部でも同様であった。腓腹筋赤色部では、運動後のスレオニン、セリンなどの上昇は抑制されなかった。 本研究において、タウリン投与は長時間運動時の疲労困憊時間を延長させ、特に運動終盤での血糖低下の抑制が決定的に影響することを明らかした。その機序の1つとしてタウリン投与により糖新生関連酵素の活性化が起こり、糖新生に備える状況が運動前に既に準備されていた可能性がある。また、糖新生の基質として骨格筋由来のアミノ酸が関与していることが推察された。
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