2011 Fiscal Year Research-status Report
高度肥満者多発地域における要因解明と運動を中心とした健康教育プログラム開発
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23500791
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
栗林 徹 岩手大学, 教育学部, 教授 (70161768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 肥満 / 運動習慣 / 体力 / 介護予防 |
Research Abstract |
本研究は,健診受診者26,469人が参加した循環器疾患に関連した大規模コホート研究である岩手県北地域コホート研究(県北コホート)を基礎資料として,肥満,身体活動量,日常生活動作(ADL)および体力が将来の要介護状態等にどのような影響を及ぼすのかを解析することを目的とする。更に,岩手県北部山間部地域は肥満者の高度集積地域であり,肥満および身体活動量が将来の介護認定にどのような影響を及ぼしているのかについて解析を行う。 本年度は,なぜ岩手県北部山間部地域に肥満者が集積するかについて,地理的条件(特に標高)とBMIおよび運動習慣との関連を検討した。既存の県北コホートデータベースにコホート対象者居住地の字単位地理的データベースをリンケージし,岩手県北地域コホート研究で定める匿名化手順を実施したデータセットを用いて解析を行った。 その結果,居住地標高の四分位別(Q1:1-19m, Q2:20-106m, Q3:107-200m, Q4:202-800m)で比較すると,男性では標高が高いほど年齢が若く,逆に女性では標高が高いほど年齢が高かったが,運動習慣ありの者(週2回以上,1回30分以上,1年以上,運動をしている者)の割合は男女とも標高が高いほど低くなる傾向が認められた。男性では標高が高いほど,BMI,ヘモグロビンA1cが低く,HDLコレステロールが高い傾向が認められた。一方女性では,標高が高いほど,BMI,収縮時血圧が高く,総コレステロールが低い傾向が認められた。 男性と女性で結果が異なることについては今後さらに解析をすすめ必要があるが,女性において居住地の標高が運動習慣および肥満に関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,東日本大震災被害の少ない市町村の協力をえて初年度(平成23年度)より研究対象市町村で生活問診調査(運動習慣・身体活動量調査を含む)と体力測定調査を実施する予定であった。しかし,岩手県内全般に東日本大震災の影響は大きく,沿岸地域のみならず内陸部においても市町村の保健師の業務は大きくの影響を受けた。東日本大震災被害の少ない市町村の保健師も沿岸地域への支援・派遣等で多忙となり,研究目的の新たな事業の展開は難しい状況であった。 そこで,平成23年度は研究対象市町村で生活問診調査と体力測定調査は断念し,謝金の研究支援者雇用費用を次年度に繰り越し,平成24年度に集中的に調査を実施することにした。 生活問診調査と体力測定調査が平成23年度は実施できず,「(3)やや遅れている」の自己評価となる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度については,平成23年度に実施できなかった分の生活問診調査と体力測定調査を含め実施する。具体的には,1. 岩手県北コホート研究解析と成果公表:平成23年度に引き続き、岩手県北コホート研究解析を実施し成果公表を行う。2. 生活問診調査と体力測定調査:平成23年度に実施できなかった分の生活問診調査と体力測定調査を含め実施する。3. 生活問診調査と体力測定調査データ解析:岩手県北コホート研究解析ととともに新たに収集した生活問診調査と体力測定調査データの解析も開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に未執行であった謝金(研究支援者雇用費用)は平成24年度分の謝金(研究支援者雇用費用)と合わせ,主に生活問診調査と体力測定調査の実施に使用する。 その他の項目,旅費(調査研究費,成果発表),その他(学会参加費用,雑誌投稿費用)は当初計画のとおり使用する計画である。
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