2011 Fiscal Year Research-status Report
大学生における睡眠・覚醒リズム評価と身体活動を用いた睡眠教育プログラムの検討
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23500798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島本 英樹 大阪大学, 大学教育実践センター, 准教授 (50299575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 真志 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (00254467)
谷田 恵子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60405371)
守山 敏樹 大阪大学, 保健センター, 教授 (30283815)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 睡眠 / 身体活動 |
Research Abstract |
最近では、現代人の生活リズムの乱れが問題となっており、特に若年者を中心とした夜型のライフスタイルの蔓延は睡眠の質の低下をもたらすことで様々な健康問題を生み、大学生においては授業・勉学への影響も少なくないと言える。大学生は、全世代の中で最も遅寝・遅起きであるとともに、睡眠・覚醒リズムが不規則であると言われている。実際、睡眠時間の短縮や睡眠・覚醒リズムの乱れは、不定愁訴など種々の体調不良と関連することが明らかにされているが、授業中の強い眠気や疲労が睡眠・覚醒リズム異常の結果であると認識している大学生は非常に少ないと思われ、睡眠教育を教養科目として授業に取り入れるなど対策が必要であると思われる。本研究では、大学生のライフスタイルの違いが睡眠・覚醒リズムや睡眠の質に与える影響を明らかにし、身体活動を用いた睡眠教育プログラムのあり方を検討することを目的する。本年度の目的は、大学生の睡眠・覚醒リズムを、大規模サンプルを対象とした横断的研究によって客観的指標で評価することであった。高性能加速度センサーを用いて身体活動量を測定し、得られた日常における身体活動データを睡眠-覚醒リズム研究用プログラムを用いて解析し、総睡眠時間(TST)・睡眠潜時(SL)・入眠後覚醒時間(WASO)・中途覚醒回数・睡眠効率(SE)・入眠後の平均覚醒時間・10分以上の覚醒回数などの睡眠変数を指標とし、入浴時間、運動時間、食事のタイミングなどのライフスタイルと睡眠の質の関係について検討している。複数の大学の学生を対象に測定を実施し、現在もデータ収集および分析中である。来年度も継続して測定を実施する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」で記述したとおり、大規模サンプルを対象とした横断的研究によって睡眠・覚醒リズムや睡眠の質を評価するために、大学生を対象としたデータの蓄積に努めているが、現時点で約250名分のデータを収集している。最終的には約500名のデータによって検討を行うので、現状で約半数のデータ収集を済ませている。今年度の残りのデータ収集の計画を既に立てており、同時にデータの分析も進めていることから、研究計画はおおむね順調に進展しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載のとおり、大学生500名を対象とし、入浴時間、運動時間、食事のタイミングなどのライフスタイルと睡眠・覚醒リズムおよび睡眠の質の関係について検証する。本来、睡眠の質は脳波(EEG)検査や終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を実施することによって判定される。しかし、これらの方法を実施するには煩雑で高価な上、対象者の負担も非常に大きく、多数例を検討するには適していない。本研究では被験者数を飛躍的に増加させるために、高性能加速度センサーによって収集した日常身体活動データを近年開発された睡眠-覚醒リズム研究用プログラムを用いて解析する。睡眠-覚醒リズム研究用プログラムによって算出された総睡眠時間(TST)・睡眠潜時(SL)・入眠後覚醒時間(WASO)・中途覚醒回数・睡眠効率(SE)・入眠後の平均覚醒時間・10分以上の覚醒回数などの睡眠変数を指標とし、また、ペリオドグラムによる行動周期・睡眠周期解析結果を用いてライフスタイルとの関連を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、高性能加速度センサーによって収集した日常身体活動データを睡眠-覚醒リズム研究用プログラムを用いて解析する方法を用いている。データの精度を向上させるために、複数のフィールドにおいても出来るだけ同じ時期に測定を実施する必要があり、相当数の高性能加速度センサーを確保する必要がある。次年度に研究費が繰り越されたのは、確定額の通知が遅れたので、23年度前期に測定を予定していたのを24年度に延期したためである。しかし、先に述べたとおり、23年度後期に予定数以上の測定を既に済ませているので研究計画遂行に問題はない。来年度はさらに、次のステップとして介入研究を行うが、その遂行のために研究費を使用する予定である。また、得られた研究成果は随時学会発表等、結果の公表を行う。
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