2012 Fiscal Year Research-status Report
大学生における睡眠・覚醒リズム評価と身体活動を用いた睡眠教育プログラムの検討
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23500798
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島本 英樹 大阪大学, 全学教育推進機構, 准教授 (50299575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 真志 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (00254467)
谷田 恵子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (60405371)
守山 敏樹 大阪大学, 保健センター, 教授 (30283815)
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Keywords | 睡眠 / 身体活動 |
Research Abstract |
健康の3大要素は「運動・休養・栄養」であると広く認識されている。「休養」のなかでも、質の高い充分な睡眠が日常生活においてその中心となる。若年者にみられる夜型のライフスタイルの蔓延は睡眠の質の低下をもたらすことで様々な健康問題を生んでいる。とくに大学生はライフスタイルの自由度が高く生活リズムが著しく乱れがちであるが、授業中の強い眠気や疲労が睡眠・覚醒リズム異常の結果であるとは認識されていないと思われる。本研究では、大学生のライフスタイルの違いが睡眠・覚醒リズムや睡眠の質に与える影響を明らかにし、身体活動を用いた睡眠教育プログラムのあり方を検討することを目的としている。 本年度の目的は、昨年度に引き続き、大学生の睡眠・覚醒リズムを、大規模サンプルを対象とした横断的研究によって客観的指標で評価することであった。高性能加速度センサーを用いて身体活動量を測定し、得られた日常における身体活動データを睡眠-覚醒リズム研究用プログラムを用いて解析し、総睡眠時間・中途覚醒回数・睡眠効率などの睡眠変数を指標とし、日中の身体活動レベル、入浴時間、食事のタイミングなどのライフスタイルと睡眠の質の関係について検討した。複数の大学に在学する1000名以上の学生を対象に測定を実施し、ライフスタイルと睡眠の質の関係について、現在、多角的にデータの分析を行っている。 既に分析を終えたデータのうち、1146名の大学生(男子615名、女子531名)について検討したところ、昼間の眠気は男子と比較して女子で有意に高く、女子のみに昼間の眠気の強さと身体活動レベルとの有意な相関関係がみられた。得られた結果について現在考察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大規模サンプルを対象とした横断的研究によって睡眠・覚醒リズムや睡眠の質を評価するために、大学生を対象としたデータの蓄積に努めている。研究計画では、約500名のデータ収集を目的にしていたが、既に約1000名以上のデータを収集している。現在、それらのデータの分析および結果の考察中である。来年度の残りのデータ収集の計画を既に立てており、収集したデータの一部をまとめ、学会発表を予定していることから、研究計画は順調に進展しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載のとおり、横断的研究として、出来るだけ多くの大学生を対象とし、入浴時間、運動時間、食事のタイミングなどのライフスタイルと睡眠・覚醒リズムおよび睡眠の質の関係について検証する。 本来、睡眠の質は脳波(EEG)検査や終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を実施することによって判定される。しかし、これらの方法を実施するには煩雑で高価な上、対象者の負担も非常に大きく、多数例を検討するには適していない。本研究では被験者数を飛躍的に増加させるために、高性能加速度センサーによって収集した日常身体活動データを近年開発された睡眠-覚醒リズム研究用プログラムを用いて解析する。 睡眠-覚醒リズム研究用プログラムによって算出された総睡眠時間(TST)・睡眠潜時(SL)・入眠後覚醒時間(WASO)・中途覚醒回数・睡眠効率(SE)・入眠後の平均覚醒時間・10分以上の覚醒回数などの睡眠変数を指標とし、また、ペリオドグラムによる行動周期・睡眠周期解析結果を用いてライフスタイルとの関連を明らかにする。 先に述べたとおり、研究計画に記載した目標の測定数は済ませているが、測定時期や被験者の運動習慣の有無など、若干偏りがあるので、それを補う測定も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、高性能加速度センサーによって収集した日常身体活動データを睡眠-覚醒リズム研究用プログラムを用いて解析する方法を用いている。データの精度を向上させるために、複数のフィールドにおいても出来るだけ同じ時期に測定を実施する必要があり、それに関する経費が必要である。 次年度に研究費が繰り越されたのは、初年度確定額の通知が遅れたので、測定予定を延期したためである。しかし、先に述べたとおり、既に予定数以上の測定を済ませているので研究計画遂行に問題はない。来年度はさらに、次のステップとして介入研究を行うが、その遂行のために研究費を使用する予定である。また、得られた研究成果は随時学会発表等、結果の公表を行う。
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