2011 Fiscal Year Research-status Report
感情イメージ理論に基づくDV防止教育への応用的研究
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23500821
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Research Institution | Toyama University of International Studies |
Principal Investigator |
大石 昂 富山国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20115132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大平 泰子 富山国際大学, 公私立大学の部局等, 助教 (00555188)
鈴木 国威 慶應義塾大学, 付置研究所, 研究員 (20580913)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 感情イメージ / イメージ / 感情 / ストレスマネジメント / デートDV / DV |
Research Abstract |
平成23年度は、本研究チームによる7回の「イメージ研究会」における、共同研究および各人の感情イメージ研究の成果の検討を中心に研究活動を進めた。これらの検討を経て、感情イメージの理論的基礎の深化を目指した論文の共同執筆を進め、「イメージ心理学研究」(日本イメージ心理学会)に投稿した。この論文においては、感情イメージの概念について他のイメージ研究や感情研究において用いられている諸概念との関連性を検討し、感情イメージという概念が、認知過程と感情過程の統合的な把握において有効性を持つことについて論証を行った。また、感情イメージ調査法の妥当性と信頼性について実証的な確認を行うとともに、その実用性や応用性を高めるための検討課題を明確にした。第12回日本イメージ心理学会大会においては、感情イメージと対人社会的動機の関連性について、およびデートDVをめぐる応用可能性についての研究発表を行った。そのほか、イメージ調査法の応用性を高めることを目指して、感情語の選定に関する調査研究を進め、NEO-PI-R(パーソナリティ検査)、VVIQ(イメージの鮮明性尺度)、DAQ(攻撃的置き換え尺度)、没入性尺度(岡田、松岡)、対人社会動機尺度など、他の心理尺度との関連性の実証的検討を行った。これらの結果は、全体としてイメージ調査法の妥当性を支持し、DV問題への応用可能性を示唆するものであった。 これらの理論的実証的研究とともに、DV被害者への支援活動を進めているボランティアグループの主宰者に対するヒアリングを行い、DV問題における早期からの予防教育や被害と加害の心理的構造の解明、被害者支援とともに加害者に対する教育的支援の重要性についての認識を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度のイメージ研究会は、5月14日、7月2日、9月24日、10月15日、12月10日、2月11日~12日、3月24日の7回にわたって開催された。研究会においては、下記の事項について検討を行った。1、本研究の理論的基礎をより深化させることを目指して、「感情イメージの特性と適用に対する展望」(大石他共同執筆)の論文の執筆・検討を行い、「イメージ心理学研究」(日本イメージ心理学会)に投稿した。本論文では、感情イメージおよび感情価についての概念的検討および、感情イメージの調査法であるイメージ調査法の信頼性・妥当性を高めるための検討を行い、さらにDV防止をはじめとする感情イメージ理論の応用可能性についての検討を行った。2、イメージ調査法による調査結果とNEO-PI-Rによる人格測定の関連性を検討し、感情価尺度得点とNEO-PI-Rの5次元の間の相関を確認した。さらに、IF-THEN法を用いた対人社会動機と感情イメージの関連性についての検討を行った。これにより、対人社会動機に対して感情イメージがどのように影響するのかについての基礎的資料が得られた。また、イメージ調査法の対象語を半分に絞ることで実用性を高めた。3、デートDVへの感情イメージ研究の応用可能性の検討として、「支配」「服従」「暴力」「恋愛」「結婚」「セックス」といったデートDVにかかわる10個の対象語に対する感情価の因子パターンおよび感情価の相関に基づく感情イメージ構造の解明を試みた。この結果、デートDV傾向と感情イメージ構造の関連性が認められ、感情イメージ研究のこの方面への応用可能性について基礎的な確認が得られた。4、DVについての文献研究や、関係者へのヒアリングを行い、DVやデートDVの予防教育の在り方についての認識を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1、年代を経た個人間における感情イメージの変動性に関する研究に続けて、個人内変動の検討を行う。2、イメージ調査法における感情語、対象語の検討および他の心理尺度との関連性の検討をもとに、さらに調査法の実用性と応用性を高める。3、イメージ調査法を用いたデートDVに関する予備調査を実施し、DVやデートDV傾向と感情イメージ構造の関連性についての実証的検討を深める。4、DV研究のレビューを進めて、防止教育の在り方を検討する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度においては、データの再処理に重点が置かれ、予定していた調査のうち実施に至らないものがあった。2年目にあたる平成24年度は、初年度に予定していたものの実施を含め、調査研究の比重を高めることとしたい。したがって、調査とデータ処理にかかわる人件費・謝金および旅費の増額が予想される。24年度の研究費の総額は、2,055,174円を予定しており、内訳は、直接経費として、物品費195,000円、旅費550,000円、人件費・謝金595,174円、その他、295,000円(直接経費合計1,635,174円)となっている。間接経費は、420,000円である。
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