2011 Fiscal Year Research-status Report
根本的な運転行動改善ができる自転車の出会い頭事故防止教育プログラムの開発
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23500833
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
小坂 洋明 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (60362836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 賢 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (60293891)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 安全運転教育 / 視線移動 / 運転診断 / 人間行動解析 |
Research Abstract |
本研究は、自動車ドライバーが潜在的に持つ不安全運転行動・意識を顕在化し、それを自ら改善することを促す安全運転教育方法(研究代表者らが提案済み)を自転車ドライバー向けの教育方法に改めて提案、その教育を試行し結果を評価することを目的とする。平成23年度は、先行研究の自動車ドライバーに対する安全運転教育プログラムをベースにした、自転車ドライバー向け安全運転教育プログラムの準備を行う計画であったが、それは概ね達成された。新たな自転車ドライバー向け安全運転教育実施の見通しを立てたという意味で、意義のある成果である。 提案する自転車ドライバー向け安全運転教育では、被験者の自転車運転行動データ(自転車走行中の車速と視線移動)が必要である。これを記録する実験装置(記録装置付き自転車)を製作した。この実験装置は、自転車、小型デジタルビデオカメラ2台とアイマークレコーダ(NAC社EMR-9、視線移動と被験者の頭部前方映像を記録する)で構成される。被験者がこの自転車に乗り交差点を通過し、運転中のデータを記録する実験を行った。次に、簡単なシミュレーションプログラムを作成し、被験者の交差点通過の際の運転行動をシミュレーション上で再現した。さらに、シミュレーション上で交差自転車を運転し、交差点での被験者の自転車との出会い頭事故の危険性について評価した。 被験者の交差点通過の際の車速、視線移動、シミュレーションによる危険性評価を使い、被験者を教育した。その結果、記録した被験者の運転行動でも出会い頭事故が発生する可能性があることが分かった。被験者は記録時の車速なら事故は起こらないと考えていたが、教育によりその認識を改めた。また、停止距離の長さについても認識を改めた。以上から、被験者自身の運転行動データとシミュレーションの提示により、被験者の安全運転意識を向上させる教育ができたことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、先行研究の自動車ドライバーに対する安全運転教育プログラムをベースにした、自転車ドライバー向け安全運転教育プログラムの準備を行う計画であったが、それは概ね達成された。23年度は、以下の内容を実施した。(1)被験者の自転車運転行動を記録する、記録装置付き自転車を製作した。(2) 被験者がこの自転車に乗り交差点を通過し、運転中のデータを記録する実験を行った。(3) 被験者の自転車との自転車同士の出会い頭事故の危険性について評価するため、シミュレーションプログラムを作成し、被験者の交差点通過の際の運転行動をシミュレーション上で再現した。(4) (1)~(3)を用いて被験者に自転車安全運転教育を実施した。その結果、被験者の安全運転意識を向上させる教育ができたことが分かった。以上から、安全運転教育プログラムの試行ができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、交付申請書に記述した計画通りに進めていく。但し、23年度の準備段階で明らかになった、新たな課題についても取り組む。例えば、23年度の実験によって、自転車ドライバーは安全確認に聴覚も積極的に使う一方、その分視覚による安全確認に鈍感な部分があることが示唆された。これについて、安全確認に関する聴覚の効果とその限界などについて調べ、安全運転診断や教育に取り入れていく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の予算執行額は、当初の予定額に達しなかった。理由として、参加した研究会などの旅費や、デジタルビデオカメラなどの実験装置などについて、他経費で執行できたため、本助成金の執行に余地ができたこと、被験者が1名に留まったことや、今回は実験補助者を使う必要が生じなかったことが挙げられる。 平成24年度は、交付申請書にある計画に沿って進める他、23年度の実験で判明した細かな問題点への対応などのため、23年度に比べて残額は大幅に減る予定である。物品費については、実験装置改良などに使用する。旅費については、国際会議(発表決定)などに使用する。人件費については、今年度は多数の被験者で実験を行う予定であり、その被験者雇用などに使用する。
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Research Products
(1 results)