2012 Fiscal Year Research-status Report
根本的な運転行動改善ができる自転車の出会い頭事故防止教育プログラムの開発
Project/Area Number |
23500833
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
小坂 洋明 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60362836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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Keywords | 安全運転教育 / 視線移動 / 運転診断 / 人間行動解析 |
Research Abstract |
本研究は、自転車ドライバーが潜在的に持つ不安全運転行動・意識を顕在化し、それを自ら改善することを促す安全運転教育方法を試行し結果を評価することを目的とする。平成24年度は、自転車ドライバー向け安全運転教育プログラムの実施を行う計画であったが、計画は概ね達成された。 6名の被験者(本校学生)を対象に、昨年度製作した、被験者の自転車運転行動データを記録する実験装置(記録装置付き自転車)に大幅な改良を加えた上で使用し、被験者が自転車で通学路途中の交差点を通過する際の車速や視線移動の様子を記録する実験を行った。次に、昨年度作成した自転車が交差点上を通過する様子をシミュレーションするプログラムを改良し、実験を行った交差点で、自転車の車速や仮定する交差自転車の出現タイミングなどを自由に変えてシミュレーションできるようにした。このシミュレーションで被験者の交差点通過の際の運転行動を再現した。その結果、左右確認回数や確認した位置によって、交差自転車との衝突の有無の傾向が大きく異なることが分かった。 交差点通過の様子やシミュレーション結果をもとに、被験者に自転車安全運転教育を実施した。教育前のアンケートの結果より、全ての被験者が交差点で交差自転車の進入があっても事故を起こすことなく停止できるとの認識であったが、シミュレーションにより事故を発生させた被験者は認識を改めた。さらに、被験者に自動車のドライビングシミュレータを運転させ、車道に飛び出てくる自転車が自動車ドライバーにはどのように見えるかを体験させたところ、自転車が発見しにくいことが分かったと回答した被験者が多かった。 以上より、自分の運転行動の問題点を認識させ、他者から見た自転車運転の様子を理解させることを通して、被験者の安全な自転車運転意識を向上させる教育ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、先行研究の自動車ドライバーに対する安全運転教育プログラムをベースにした、自転車ドライバー向け安全運転教育プログラムの実施準備を行う計画であったが、計画は概ね達成された。24年度は、以下の内容を実施した。(1)自転車運転行動記録装置の大幅改良、(2)6名の被験者に対する自転車運転行動記録実験の実施、 (3) 被験者の自転車との自転車同士の出会い頭事故の危険性について評価するシミュレーションプログラムの改良、(4)(2)の被験者全員に対する自転車安全運転教育の実施。(4)では、自動車ドライバーの立場から自転車がどう見えるか、という観点を通して自分の運転行動を客観的に振り返る教育も実施した。その結果、被験者の安全運転意識を向上させる教育ができたことが分かった。以上から、本格的な安全運転教育プログラムが実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、交付申請書に記述した計画通りに進めていく。本教育の特徴を活かした集団の自転車安全運転教育を実施する。実際の交差点通過場面やシミュレーションの結果を提示し、減速や左右確認の必要性を理解させ、自ら運転行動を改善することを促す。また、前半は24年度実施した実験も継続実施し、被験者の数を増やしてデータの信頼性をさらに向上させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の予算執行については、交付申請書にある計画に沿って進める。物品費については、実験装置改良などに使用する。旅費については、国際会議(発表決定)などに使用する。人件費については、今年度も被験者を使う実験を行う予定であり、その被験者雇用などに使用する。その他については、教習所を使った安全運転教育を実施する場合に使用する。
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Research Products
(3 results)