2011 Fiscal Year Research-status Report
運動療法による骨格筋、脂肪組織、血管壁と脳海馬における転写因子の発現について
Project/Area Number |
23500834
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岡田 恭司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10185431)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 和夫 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30006754)
月山 克史 秋田大学, 医学部, 准教授 (10359797)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 脂質代謝異常 / 運動 |
Research Abstract |
実施した事項は以下の1~6です。 1.脂質異常、耐糖能異常マウスの作製:5週の雄C57BL/6Jマウス40匹を高脂肪食 High Fat Diet 32(日本クレア社製)で5週間飼育した。各マウスは、それぞれ独立したケージで飼育し、実験開始から終了まで餌、水は同一で自由摂取とし、体重、摂餌量は2-3日間隔で測定した。明暗周期は12 時間とし、明7:00-19:00、暗19:00-7:00 にて飼育した。2.トレッドミルによる運動負荷:肥育したマウスを運動なしのコントロール群、低頻度群(週1回の運動)、中頻度群(週3回の運動)、高頻度群(週5回の運動)の4群に分類し、小動物用トレッドミル(MUROMACHI社製)を用い、マウスの65%VO2Maxの条件である5度傾斜、速度10 m/sで30分間運動させた。運動を行う期間は4週間とした。3.体脂肪率の計測:小動物用micro CTで運動期間前と運動期間終了時に体脂肪率を測定した。4.OGTT:マウスを運動期間前と運動期間終了時に無麻酔下で糖負荷し、経時的に眼窩から採血して血糖値を測定した。5.組織採取:運動期間が終了した時点で、全身麻酔下に心臓から灌流固定し、脳をはじめとして内臓器、下腿三等筋、脂肪組織などを採取し組織学的検討をおこなった。6.組織染色:採取した組織のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)やc-Fos蛋白の発現を検討した。 結果としては以下のことが得られた。PPARについては対照群と運動群では大きな差は見られなかったが、脳内の被殻部や弓状核の外側部では運動群でc-Fos蛋白の発現が亢進して点を確認した。PPARの発現については染色結果にnon specific reactionが強く出ているので、染色工程の見直しが必要と思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。計画として遅れているのはc-Fos以外の染色であり、一般にnon specific reactionが強く評価が難しい状況なので、染色工程の見直しが必要と考えられる。またDNA結合活性の測定としてTranscription factor assay により、核抽出物中のPPAR-α、γ、δのDNA結合活性を運動頻度別に比較検討する予定であったが、本assayがPPAR群の活性に直接関与する酵素が使用されているため測定に適さないことが判明したので、他の測定方法を検索中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
c-Fos以外の転写因子について各臓器での発現を検討する予定である。染色過程でのnon specific reactionについては、染色行程を見直しすることにより適切な結果が得られると考えられる。以下のように今後は運動の強度別の効果を検討を詳細に行う予定である。1.脂質異常、耐糖能異常マウスの作製:前年度と同じ。2.トレッドミルによる運動負荷:肥育したメタボリック症候群モデルマウスを、運動なしのコントロール群、35%群(35%VO2Maxの運動)、50%群(50%VO2Maxの運動)、65%群(65%VO2Maxの運動)、80%群(80%VO2Maxの運動)の5群に分類し、小動物用トレッドミル(MUROMACHI製)を用い、各VO2Maxの条件で週3日運動させる。運動を行う期間は4週間とする。3.体脂肪率の計測:前年度と同じ。4.OGTT:前年度と同じ。5.組織採取:前年度と同じ。6.組織染色と前年度と同様であるが、より多数のマウスを対象として検討する必要があるためその購入代金や飼育費、エサ代として次年度使用額が生じた。 骨格筋、脂肪組織、動脈壁ではペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)-α、γ、δそれぞれの抗体を用い、海馬に対してはc-fos, BDNPの抗体を用いて免疫染色を行い、運動頻度別の発現の程度を比較検討する。脳と骨格筋での発現の相関関係も検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物の購入費、飼育費、試薬、抗体の代金等の消耗品に使用予定である。実験マウスの匹数が多いため、動物購入費と飼育費、メタボマウス作成のための特注のエサ代などが予算面で大きい比率を占める。また代謝疾患の実験であるので基礎データとしての摂餌量、体重の推移が必須データであり、マウスを管理する実験補助にかかる人件費が次に大きい。また昨年度の実験成果を学会で発表するときの旅費、研究打ち合わせ等に使うことを予定している。24年度は特に大きな備品の購入は予定にないが、次次年度では運動群と非運動群とで身体活動量と運動機能を比較検討する予定している。
|
Research Products
(3 results)