2012 Fiscal Year Research-status Report
運動療法による骨格筋、脂肪組織、血管壁と脳海馬における転写因子の発現について
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23500834
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岡田 恭司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10185431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大友 和夫 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30006754)
月山 克史 秋田大学, 医学部, 准教授 (10359797)
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Keywords | PPARγ、 / 運動 / メタボリック症候群 |
Research Abstract |
実施した事項は以下の①~⑧です。①メタボリック症候群マウスの作製:5週の雄C57BL/6Jマウス60匹を高脂肪食 Western飼料で5週間飼育した。実験開始から終了まで餌、水は同一で自由摂取とし、体重、摂餌量は2-3日間隔で測定した。②トレッドミルによる運動負荷:肥育したマウスを運動なしのコントロール群、低頻度群(週1回の運動)、中頻度群(週3回の運動)、高頻度群(週5回の運動)の4群に分類し、小動物用トレッドミル(MUROMACHI社製)を用い、5度傾斜、速度10 m/sで30分間運動させた。運動を行う期間は9週間とした。60匹中40匹は以下の③~⑦を実施し、20匹では⑧を行った。③体脂肪率の計測:小動物用CTで運動期間前と運動期間終了時に体脂肪率を測定した。同時に近赤外吸光分析を腹部で行い、CT値との相関を検討した。④OGTT:糖負荷し、経時的に眼窩から採血して血糖値を測定した。⑤ITT:運動期間前と運動期間終了時に尾部から採血し、インスリン感受性を検討した。⑥組織採取:運動期間が終了して時点で、全身麻酔下に心臓から灌流固定し、脳をはじめとして内臓器、下腿三等筋、脂肪組織などを採取し組織学的検討をおこなった。⑦組織染色:採取した組織のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)γの発現を検討した。⑧骨格筋のグルコース取り込み量を群間で比較した。 以上の検討で、運動群では運動頻度が高いほどITTの結果が良好で、脂肪組織や精巣でのPPARγの発現が亢進しており、メタボリック症候群でも適切な運動によりインスリン感受性が改善することが確認できた。しかし骨格筋のグルコース取り込みは運動群と対照群で差がなく、肝臓などでの脂質代謝の変化などを検討するべきと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ順調に進展しています。わずかに計画として遅れているのは、予想に反して運動で骨格筋のグルコース取り込みに改善が見られなかったため、他の臓器、特に肝臓での脂質代謝の検討を新しいマウスで行う予定であることです。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予想では運動により骨格筋のグルコース代謝が改善すると予想していたが、pilot studyの結果、運動群と対照群で差がみられなかったため、予定のマウス匹数まではグルコース代謝の検討は行わなかった。マウス購入数が予定より減り、飼育料や飼料代が減り、試薬等の使用数も減ったため次年度使用額が発生した。よって今年度は、肝臓での脂質代謝の状況、定量測定、分解酵素の発現などを検討する予定である。具体的には新規のマウス32匹を現在肥育し、肥育終了後に運動群と対照群に分け、上述の肝臓を中心とした検討を行い、実験結果を糖尿病関係や解剖関係の学会で発表の予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時の予定通りで、実験動物の購入費、飼育費、試薬、抗体の代金等の消耗品に使用予定です。また実験補助にかかる人件費、研究発表旅費等に使うことを予定しています。
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