2011 Fiscal Year Research-status Report
ノルディックウォーキングが高分子アディポネクチンに与える影響:ランダム化比較試験
Project/Area Number |
23500839
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 和樹 大阪大学, 大学教育実践センター, 准教授 (00361080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 明彦 (財)大阪府保健医療財団大阪府立健康科学センター, その他部局等, 副所長 (80450922)
梅澤 光政 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (00567498)
島本 英樹 大阪大学, 大学教育実践センター, 准教授 (50299575)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ノルディックウォーキング / 高分子量アディポネクティン / ランダム化比較試験 / 腹部内臓脂肪 / 肥満高齢者 |
Research Abstract |
本研究では、肥満高齢者を対象にノルディックウォーキング(以下、NWと省略)を活用した運動プログラムを考案・実施し、血漿高分子量アディポネクティン値が改善されるかどうかを、ノーマルウォーキング(以下、Wと省略)を対照群としたランダム化比較試験により検討することを目的とする。 上述の目的を達成するため、平成23年度は、大阪大学・大学教育実践センター内に運営委員会を、大阪府立健康科学センター内に効果安全性評価委員会を設置した。研究対象者は、大阪府泉佐野市保健センター及び愛仁会総合健康センターの特定健診等を受診した者から選定した。研究対象者の適格基準は以下の通りとした。(1)60歳以上70歳未満、(2)がん、心筋梗塞、脳血管疾患、腎疾患の既往がない、(3)BMIが25以上または腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上。 研究の公募の結果、43名から研究参加申し込みがあったが、最終的に研究の同意が得られた者は30名だった。これらの30名に対して介入開始前に、高分子量アディポネクティンや腹部CTによる内臓脂肪量などの測定を行った。介入前測定の実施後、測定データに基づき運営委員会の疫学研究者が、対象者を介入群(NW群:N=15)と対照群(W群:N=15)にランダムに割付けた。この際、2群間の男女比、BMI、高分子量アディポネクティン値に有意差が生じないようブロック・ランダム化法を用いた。 本研究における介入期間は24週間とした。介入群に対してはNWプログラムを、対照群に対してはノーマルウォーキングのプログラムをいずれも週1回・1回当たり2時間実施している。介入は大阪府泉佐野市と万博記念公園(吹田市)の2か所で行っているが、プログラムの内容は同じである。平成24年3月31日時点で、プログラムは泉佐野市で12回、万博記念公園で8回終了し、脱落者は1名のみである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的の通り、肥満高齢者を対象にノルディックウォーキングの高分子量アディポネクティンに与える影響を検証するため、ノルディックウォーキングとノーマルウォーキングの比較によるランダム化比較試験を計画し、大阪府泉佐野市、愛仁会総合健康センター、日本万国博覧会記念機構等の協力の下、24週間の介入を開始した。これまでのところ、介入中の心血管事故や転倒骨折事故、健康状態の悪化などの事例もなく、研究は順調に推移していると言える。 しかしながら、研究のサンプルサイズに関しては、当初、先行研究の結果から必要とされた72名に対して、平成23年度は30名の実施に留まり、このままでは統計学的にパワー不足となる可能性が高い。平成24年度は、当初の研究目的を達成するため、平成23年度と同等のサンプル規模の介入研究を実施することが必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ノルディックウォーキングの高分子量アディポネクティンへの効果を検証するための介入研究について、泉佐野市では平成24年1月より、吹田市(万博記念公園)では同年2月より開始し、現在進行中である。平成24年度は、これらの介入研究を当初の計画通り24回実施し、介入終了直後に高分子量アディポネクティンや腹部内臓脂肪などの測定を行う。介入後測定は、泉佐野市ではりんくう総合医療センターで、万博記念公園では愛仁会総合健康センターでそれぞれ6月下旬と7月下旬に実施する。 本研究では、ノルディックウォーキングの効果を検証するため対照群(ウォーキング群)を設定した。このため、介入終了後に対照群に対してノルディックウォーキングのプログラムを提供することが倫理的側面から必要である。対照群へのノルディックウォーキング指導は、平成24年10月から12月まで、週1回の頻度で合計10回実施する予定である。これらの研究成果は、平成24年9月に開催される日本体力医学会及び同年10月に開催される日本公衆衛生学会等で公表する予定である。 平成24年度は、研究計画書で算出したサンプルサイズの不足を補うため、30~40名規模の介入研究を泉佐野市または吹田市(万博記念公園)で追加実施する。研究対象者、介入期間、介入内容等については先行する介入研究と同等とする。現時点では、平成24年10月より対象者の募集を開始し、同年12月から平成25年5月まで介入を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策で記載した通り、平成23年度は、当初予定していたサンプル数より約40名少ない30名の介入実施に留まった。このため、平成23年度の収支状況は、40名分の介入前後の検査費用(高分子量アディポネクティンや腹部内臓脂肪等)として約90万円が未使用となった。平成24年度は、サンプルサイズの不足分である40名を対象に平成23年度と同等の介入研究を追加実施する計画であり、今年度未使用の90万円はこの介入研究の前後で行う検査の諸費用に充当する予定である。また、平成24年度の直接経費1,700,000円の使用用途に関しては、平成24年度に追加で行う介入研究で雇用する保健師や健康運動指導士など研究スタッフの謝金及び交通費、分担研究者への研究経費、学会報告など本研究の成果公表に係る経費として使用する予定である。
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