2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における血栓形成関連因子の日内・季節変動の解明
Project/Area Number |
23500850
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
石指 宏通 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50260807)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 芳光 大阪国際大学, 人間科学部, 教授 (70144566)
|
Keywords | VWF / ADAMTS13 / 季節変動 / 日内変動 / 老化 |
Research Abstract |
これまで、血栓形成関連因子としてフォンビルブランド因子(VWF)とVWF特異的切断酵素(ADAMTS13)をとりあげ、季節の影響ならびに、それを修飾する老化の影響について検討してきた。その結果、VWFは年齢層に関係なく、春季(5月)、夏季(8月)、秋季(10月)に比べ、冬季(12月、2月)に高くなる傾向が認められ、その傾向は、気温が最も低くなる2月に顕著に認められた。また、いずれの季節においても高齢者で高値を示すものであった。今回は各季節における血栓形成関連因子の日内変動について、AM(7時)とPM(19時)で比較検討した。VWFは高齢者、若年成人とも夏季において日内変動はみられなかったが、その他の季節ではAM値がPM値よりも高く、その変動幅は冬季の高齢者において最も大きい傾向がみられた。一方、ADAMTS13活性についてみると、若年成人にはいずれの季節においても日内変動がみられなかったのに対し、高齢者ではPMに活性が低下する傾向がみられ、この傾向は冬季において顕著であった。一般にADAMTS13はVWFの量的質的増加に対して作用し、一時的に消耗性低下を引き起こすが、その後回復することが知られている。今回、高齢者のPMにADAMTS13 活性の低下がみられたことには、AMにみられたVWF上昇が長時間に及んで継続していることを推察させるものである。これらの結果は、スポーツ活動に伴うVWF産生の増加を考え合わせた時、冬季、とくに午前中のスポーツ活動には、より血小板血栓形成の起こりやすい状況をもたらしていることを示唆している。さらに高齢者においては、冬季のVWFがAM、PMを通じて高いレベルにあり、ADAMTS13 活性が低下していることをから、十分な安全対策の必要性が示唆された。
|