2013 Fiscal Year Research-status Report
長期家計記録による家計動態と家族経済史の実証的研究
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23500874
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
重川 純子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80302503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 英子 宇都宮短期大学, 人間福祉学科, 教授 (70352573)
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Keywords | 家計簿 / 長期家計 / 家計動態 / 生活史 / 事例調査 |
Research Abstract |
平成25年度は、主に①2件目の雇用者世帯(A)の長期家計記録分析、②費目別月額の変動分析、③雇用者世帯の被服品目の購買行動の分析を実施。結果の概要は以下の通り。①昭和30年から平成元年までの分析対象期間は、子育て期から子独立後の高齢期までのライフステージにあたる。収入は順調に伸び、昭和48年には上位の役職に昇進しており、石油危機後も実質収入は以前の水準を維持あるいは上回っている。定年退職後もそれまでの経験を生かした職を得て、定年前の6、7割程度の収入を確保するが、教育期終了前であったこともあり赤字となった。支出額は子の成長に伴い増加する。子は自宅外通学となる首都圏に進学しており、教育関係費が消費の中で高い割合(末子の独立までの累積では消費の約3割)を占める。先に分析した家計(B)、同世代コーホート平均値と対比すると、収支はやや高い水準で類似した推移の軌跡をたどっている。第1次石油危機後も平均値では実質収入は増加している。それぞれに事情は異なるが、A家計においても同様の結果となった。2家計ともに2人の子が大学進学している。自宅通学のB家計では一時的に消費の3割を占める年もあるが、累積では1割弱であり、家計への影響が大きく異なる。②A家計の外食を除く食費以外の費目別消費月額の変動係数は年によりばらつきがあるが、消費合計月額の変動係数は各年0.1台と低く、調整が図られている。③被服品目購買行動については、昭和30年代から50年代(対象世帯の子育て期間に該当)にかけての購入頻度・購入金額の集計・分析を行った。和服関連や裁縫・手芸用品の購入頻度の変化は小さく、社会的には生活様式が大きく変化した時期であったが、食生活と同様に個別世帯の中では生活様式は変化しにくい可能性が示唆された。研究成果報告として専業農家世帯の家計動態と家計管理の分析結果について国内学会と国際学会で報告。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度には、家計動態と生活様式の変容の分析の結果の成果発表を行い、全体的なとりまとめを行う予定であったが、家計動態分析の成果発表に際し前年度までの結果に追加の分析を行ったこともあり、生活様式分析のための家計簿データの品目分類、入力、2件目の雇用者世帯の家計データの調整のため時間を要し、期間延長を行うことになった。以上より、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果の学会報告を行うとともに、これまでの家計動態、生活様式の変容の研究分析結果の取りまとめを行う。本研究の分析対象家計の記帳期間と経済環境の変化の様相は大きく異なるが、対象家計がどのように日常的に家計管理を行い、ライフイベントやリスクにいかに対応してきたのか、収入変動、支出変動への家計管理の具体的対応を家計データで明らかにし、これらを総括し今後の生活設計方法の検討に資することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度には、家計動態と生活様式の変容の分析を行い、成果発表をする予定であったが、家計動態分析の学会報告に際し前年度までの結果に追加の分析を行ったこともあり、衣生活の生活様式分析のための家計簿データの品目分類、入力、2件目の雇用者世帯の家計データの調整に時間を要し、25年度中に成果発表までおこなえなかったため、未使用額が生じた。 未使用額は主に長期家計簿データを用いた生活様式分析の研究成果学会発表のための旅費および学会参加費に充てることとしたい。
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Research Products
(3 results)