2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500893
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
高野 貴子 東京家政大学, 家政学部, 教授 (50236246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 美智男 杏林大学, 医学部, 教授 (40167812)
高木 晴良 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90187930)
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Keywords | ダウン症候群 / 先天性心疾患 / 心臓手術 / 重症度 / 性差 |
Research Abstract |
ダウン症候群患者(DS)の外来カルテ調査と保護者へのアンケートを行い、先天性心疾患の有無及び心臓手術の有無を指標とした先天性心疾患の重症度の性差を検討した。(1)A「ダウン症療育相談外来」:DS患者254人(男140,女114人)の中で、先天性心疾患を合併している男は56人(40%)、女は58人(51%)で有意な性差はなかった。しかし、先天性心疾患を有する患者の中で心臓手術を受けた男は22人(16%)、女は29人(25%)で、女の方が心臓手術の割合が高く、有意により重症であると考えられた(Mantel-Haenszelのカイ二乗検定でp=0.035)。(2)B大学病院:DS確定患者186人(男87,女99人)のうち、先天性心疾患を合併している男は43人(49%)、女は58人(59%)であり、有意な性差は認められなかった。また、心臓手術を受けた男25人(28%)、女36人(36%)で、性別による重症度の割合にも有意差はなかった。(3)C大学病院:同様にDS確定患者42人(男18,女24人)のうち、先天性心疾患を合併している男は8人(33%)、女は9人(50%)であり、有意な性差は認められなかったが、心臓手術を受けた割合は男0人、女5人(28%)で、女の方が重症である割合が有意に高かった(p=0.044)(4)DSの保護者へのアンケート:S県のDSの親の会(S)と、都内のDSの保護者(T)に郵送アンケートを行った。途中経過では(S)において、DS患者126人(男71,女55人)のうち先天性心疾患を合併している男は33人(46%)、女は31人(56%)で有意な性差は認められなかったが、心臓手術を受けた者は男19人(27%)、女22人(40%)で、女の方が重症者の割合が有意に高かった(p=0.035)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一機関(A療育相談外来)でのカルテ情報を入手し、254人のダウン症候群患者のデータ解析は遂行できた。また、2大学病院の倫理委員会に研究の倫理申請を提出して、承認を得た。病院のカルテ情報を電子カルテから得た後、さらに患者ごとに紙カルテを調べ、診断名の確認と、先天性心疾患の重症度など必要な全ての情報の再チェックを小児循環器専門医が行った。その結果B大学病院では188名のダウン症候群患者のデータ解析は遂行できた。次いでC 大学病院では42名のダウン症候群患者のデータ解析を行った。A,B,Cともに正確なカルテ情報の入手には膨大な時間と手間を要した。また2カ所(S県のDSの親の会(S)と、都内のDS早期療育教室(T)卒園生)の保護者へアンケート調査を行った。その結果を現在PC入力中であり、一部(S)に関して解析が進んだところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に入手したA療育相談外来、BとC大学病院の診療情報を用いて、ダウン症候群の先天性心疾患の性差について、心疾患の種類別、重症度別に性差を検討する。 そのほかの関連病院の倫理審査委員会に研究のためのカルテ閲覧の申請を行う。次いでカルテ検索、診療データ収集にかなりの時間がかかると予想され、その後、データの解析に進む。 また、平成24年度に入手した患者の保護者への郵送アンケートのデータの解析とまとめを行い、先天性心疾患の合併の頻度とその詳細、性差を検討する。 文献調査を継続し、一般集団の先天性心疾患の性比とダウン症候群のそれとの比較検討を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度と同様に研究代表者と研究分担者間の綿密な連絡、打ち合わせ会議のほか、文献調査費用、学会参加費用が発生する。またアンケート返信結果のデータ整理、PC入力とデータクリーニングのための人件費が必要である。
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Research Products
(4 results)