2011 Fiscal Year Research-status Report
夜間の住宅照明環境実態と生活スタイル・省エネルギー意識から今後の住宅照明を考える
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23500911
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
宮本 雅子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (70161916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國嶋 道子 京都女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10178014)
石田 享子 奈良女子大学, その他の研究科, 研究員 (90449827)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 住宅照明 / 実態 / 生活スタイル / 省エネルギー |
Research Abstract |
SSLの普及に伴う照明環境の急速な変化と日本人の夜間の生活スタイルの多様化に着目し、照明計画に対する啓蒙活動とあわせて住宅照明の実態調査を行った。 調査票は住戸票と個人票からなっており、手渡しでの配布回収を基本とし、調査は2011年12月から2012年1月に行った。照度測定には簡易デジタル照度計LX-1010Bを用いた。調査対象は大学生実家179戸、その他一般住宅25戸、大学生下宿12戸である。所在地は、関西75%、中部13%、その他12%である。所有形態は持ち家が85.2%とかなり多い。居住形態では、独立住宅が72.7%、マンション・アパート・連続住宅などの集合住宅が26%である。家族構成は夫婦と子供の核家族66.7%、三世代同居16.7%である。建築年数は11年~20年が最も多く42.6%、次いで10年未満21.8%、である。 今回の調査対象216戸のうち、LEDを用いているのは49戸で22.7%にすぎない。その内、ランプのみ取り替えが40戸と多く、入居時から5戸、器具取替えはわずか3戸である。取替えた43件中、従前のランプは白熱電球62.8%、電球形蛍光ランプ30.2%である。LEDに取替えた理由は、長寿命79.1%、低消費電力72.1%と省エネを考えての導入が8割近くを占めており、LEDランプの特徴である調光調色機能は理由には挙がっていない。LEDの改善希望は20戸で、光を広げる30%、明るく25%である。 居間で使用されている光源で最も多いのは、環形蛍光ランプである。LEDランプは総使用ランプの3%程度であり、住宅のLED使用率22.7%と比較して居間での使用割合は少ない。 生活行為別の室の平均照度を算出したところ、「長時間の読書・勉強」は164lx、「テレビを見る」は161lx、「横になる」は141lxとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は主に近畿圏の戸建て及び集合住宅の夜間の光環境の実測調査および居住者の意識調査を行い、比較対象として中国の住宅の照明に関しての資料を得ることを目標とした。 住宅の夜間の光環境の実測調査については、目標200戸程度に対し、216戸の実測および居住者の意識調査を行った。 また、日本のJIS照明基準についてJISの制定から現在までについて住宅照明の基準の変遷についてとらえた。 比較対象の中国の住宅照明に関する資料として、中国の住宅の照明基準について調査した。また、予備調査として中国の住宅照明環境の訪問調査(6戸)を行った。 これらから、おおむね計画通り順調に研究が進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は23年度の調査住宅の協力を得てLED照明の使用実験を行う。実験住宅は12戸程度とし、各住宅で使用している照明器具の光源をLEDランプにすべて交換してもらい、23年度と同様の方法で照度測定を行う。 変更直前の室内の照度測定、室の雰囲気評価、ストレスの度合いの測定、夜間の気分、睡眠の状態や朝の気分などの生活の質について居住者に評価してもらう。ストレスの度合いは、唾液アミラーゼモニターによる唾液アミラーゼ活性の測定から得る。また、変更直後の室内の照度測定、室の雰囲気評価および唾液アミラーゼ活性の測定を行う。睡眠の状態や朝の気分など生活の質について定期的に居住者に評価してもらう。 1ヶ月後に条件を変更する。その前後に、同様の測定・評価を行う。 おおむね、当初の研究計画通りに進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、使用実験に必要なLED電球が調査住宅の戸数分必要になる(3千円×10個×12戸=360千円)。また、ストレスの程度を測定するための唾液アミラーゼモニター用チップが1住宅2箱(4千円×12戸×2箱=96千円)が必要になる。また、協力住宅による使用実験を長期に渡って行うため調査住宅へのお礼(10千円×12戸=120千円)を用意する。また、機器のメインテナンスにかかわる費用等も必要である。 平成24年度は23年度の成果の公表のための資料作りのための用品等も必要になる。結果は日本建築学会大会(名古屋)、照明学会大会(山口)で発表する。そのための旅費(70千円×3人=210千円)が必要である。平成24年度、日本(東京)で開催される日・中・韓照明カンファレンスに参加・発表を行う(旅費・参加費 50千円×3人=150千円)。 また、データ整理のためのアルバイト代(6千円×延30人=180千円)が必要となる。
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