2012 Fiscal Year Research-status Report
ハーブポリフェノールの酸化的変化‐酸化物の新機能と安全性の検証
Project/Area Number |
23500929
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
増田 俊哉 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10219339)
|
Keywords | 酸化ポリフェノール / チロシナーゼ阻害 / リポキシゲナーゼ阻害 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
23年度に行った,ポリフェノールの酸化物の調製,およびその酸化物の機能スクリーニングならびに細胞毒性評価による安全性検証実験の結果に基づき,数種のポリフェノールを選抜し,その酸化物の中の機能性物質の精製と化学構造の決定実験に着手した。本実験は,継続中であるが,現在までのところ,細胞毒性を有するポリフェノール(安全性に問題のあるもの)として,セサモールより特異な化学構造を有する酸化ダイマーとトライマーの同定に成功した。また,ロスマリン酸より,チロシナーゼ阻害機能が向上した酸化物の特定に成功した。さらに,レスベラトロールより強いリポキシゲナーゼ阻害活性を有する酸化ダイマーの特定にも成功した。来年度は,生活習慣病の一つである高尿酸血症をもたらす原因酵素であるキサンテチンオキシダーゼに対する強力な制御能を有するポリフェノール酸化物を見いだしているので,その活性本体の特定を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定は1種のポリフェノール由来の機能性酸化物の特定を進行させるものであったが,結果として,3種のポリフェノール酸化物から,食の安全性に関わる細胞毒性,食品の褐変劣化に関わるチロシナーゼ阻害,食品の劣化臭発生に関わるリポキシゲナーゼ阻害を有する酸化物質の特定に成功し,また学会での報告並びに学術誌への投稿にまでつなぐことができた。従って,今年度の達成率は非常に高いと自負できるものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度のスクリニング実験結果のうち最後に残されたキサンチンオキシダーゼ阻害活性物質の特定を進め,場合によっては,酸化機能性物質の特許化も検討したい。また,それらの酸化機能性物質の生成機構の解明および実際の食品加工中での生成の可能性を追求し,次に続く研究プロジェクトへの展開を図りたい。また,次年度は,本研究プロジェクト最終年でもあるので,得られた成果を,国際学会を含めて広く公表していく考えである
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、取り立てて大きな機器の新規設置は行わない。しかしながら2年間の機器の長時間使用によって,部品等の更新が必要な物は,適宜更新をしていく。今年度は,当初の想定していたような機器のトラブルがなかったため,幸運にも経費を次年度に回すことが可能となったため,その経費を用いて,順次機器部品の更新を行い,現在の研究環境の維持を図る。また,その他HPLCカラムや溶剤等の消耗品は,過年度と同様に必須の経費として執行する。加えて,最終年度であるので,成果を広く公表するための,学会発表旅費を,過年度より多く配分する予定である
|
Research Products
(9 results)