2014 Fiscal Year Annual Research Report
心血管イベント抑制のための栄養学的戦略ー若年成人からの動脈硬化予防ー
Project/Area Number |
23500990
|
Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
田川 辰也 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (50347142)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 血管内皮機能 / アルギニン / 一酸化窒素 / 抗酸化ビタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
アルギニンは一酸化窒素(NO)を産生させるNO合成酵素の基質である。我々はアルギニン2.5gを含むアイソカル・アルジネード(アルジネード)の経口投与が若年健康成人の前腕血管拡張機能を改善することを報告した。しかし、アルジネードには抗酸化ビタミンであるビタミンCとEが含まれており、前腕血管拡張機能の改善に影響を及ぼした可能性がある。そこで、前腕血管拡張機能に対する効果を、抗酸化ビタミンを含むアルジネードを投与した場合と、アルギニン2.5gを含むが抗酸化ビタミンを含まないアイソカル・ジェリーArg(ジェリーArg)を投与した場合で比較し、血管拡張機能の改善効果がアルギニン単独によるものか、抗酸化ビタミンが影響しているのかを検討した。 対象は20代若年健康女性9名、静脈閉鎖プレチスモグラフ法を用いて安静時および5分間の疎血後に生じる反応性充血時の前腕血流量を測定した。アルジネードを1本/日、もしくはジェリーArgを1個/日を4週間投与する前後で安静時および反応性充血時の前腕血流量の測定と採血検査、尿検査を行った。採血では総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、高感度C反応性蛋白、高分子アディポネクチン、尿検査では尿中NOx濃度とNOx/Cr値を測定した。 結果、アルジネードおよびジェリーArg投与後に反応性充血中の前腕血流量が有意に増加し、その増加の程度はアルジネードとジェリーArgで同等であった。採血、尿検査では、すべての項目でアルジネードおよびジェリーArg投与前後で有意差はなかった。 以上の結果より、アルジネード投与による血管拡張機能の改善効果は、主にアルギニンによるものであり、抗酸化ビタミンの影響は少ないと示唆された。すなわち、アルギニンは抗酸化ビタミンの同時投与の有無に関わらず、血管拡張機能を改善すると考えられる。
|