2013 Fiscal Year Research-status Report
研究者・研究機関職員のアウトリーチ・スキル向上要件の研究
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23501061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 俊哉 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90345140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 三郎 北陸先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60401949)
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Keywords | アウトリーチ活動 / アウトリーチ・スキル / 研究機関評価 / モニタリング / アウトリーチ・モチベーション |
Research Abstract |
平成25年度は、九州大学、北陸先端科学技術大学院大学の広報担当者にインタビューを実施し、アウトリーチスキルの優れた所属研究者の動向について把握する調査を実施した。なお平成25年度に予定していた研究者と研究組織が適切な連携体制を構築している事例について、追加の質問票調査を実施すべく調査対象の抽出を実施した。 また平成22年度に実施した大学等研究機関向けの質問票調査結果の深堀を24年度から継続して実施した。25年度は特にマスメディアの報道を組織的にモニタリングしている大学等研究機関では、研究者がアウトリーチ活動に協力的な割合が約64%と高いことが判明していた。しかしこの結果をχ二乗検定してみると5%水準では有意差が認められなかった(p=0.054)。その原因として、大学等研究機関が私立大学の場合、所属研究者のモチベーションとは無関係に大学本部が業務としてモニタリングを実施している場合が想定された。そこで大学等研究機関を私立大学と国公立大学等とに分けてクロス集計による分析を行った。その結果、p値は私立大学で0.433、国公立大学等では0.257であった。このように有意確率は私立大学の方が、国公立大学等よりも0.18%低かった。この結果から私立大学の場合に大学本部と所属研究者のモニタリング活動におけるモチベーションで乖離が存在する可能性が示唆された。大学組織において有効なアウトリーチ活動を行う上で、こうした乖離に配慮した事業推進を行う必要があると言える。加えて乖離の詳細な内容について追加調査を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、平成24年度に引き続き、アウトリーチ・スキルの高い研究者として、自己の研究分野と社会的活動を連結させることに熱心な研究者のアウトリーチ・スキル醸成過程を、構造化インタビュー調査並びに国内大学向け質問票調査、文献調査によって明らかにし、かつ研究機関内における研究者・研究機関職員の望ましい連携体制の解明を進める予定であった。構造化インタビュー調査は北陸先端科学技術大学院大学等の研究指向性の高い大学で実施し成果を得ることができた。その結果を国内大学向け質問票調査の内容に反映させることができた。質問票調査は質問票と調査対象リストを25年度内に完成することができたので26年度の初めに実施する予定である。以上の成果から25年度はおおむね順調に研究を進捗させることができたと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の調査結果の内容を精査し、複数の研究者のアウトリーチ・スキル醸成課程に内在する共通要因を抽出する。その中から教育プログラムに反映可能な要素を明らかにする予定である。その内容を基に学部・大学院教育及び若手研究者教育で実施可能な教育プログラム原案開発を最終年度事業として推進する予定である。 また25年度に準備を完了した国内大学向け質問票調査を実施し、調査結果をSPSSまたはSmartPLS等の解析ソフトを使用し分析を行う予定である。
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