2011 Fiscal Year Research-status Report
認知主義・状況主義学習理論からアプローチするKOSEN型実技教育の再評価と標準化
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23501083
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
伊藤 通子 富山高等専門学校, 技術室, 技術専門員 (00537037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩永 雅也 放送大学, 教養学部, 教授 (30151749)
後藤 尚弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50303706)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 技術者教育 / 状況主義学習理論 / 実体験型 / 高専 / PBL |
Research Abstract |
これまでの研究では、高専独自の実技教育を教育心理学理論に基づいて検証し、行動・認知主義のバランスと状況主義の要素導入が、教育効果に大きく影響していることを見出した。本研究では、変化が激しい情報化・グローバル化社会に適する技術者教育として、「KOSEN 型実技教育」を標準化・国際化し、工学教育の充実に寄与することを目的とする。平成23年度の研究成果は以下の通りである。1、富山高専で行っているいくつかの特長的な実技教育について、分析・評価を行った。まず専攻科の授業として、状況主義学習理論の色合いが濃いProblem-based Learningを用いて実施されている専攻科1年生の特別演習・特別実験、次に高学年の授業として認知理論に基づいた構成主義の特徴を活かしたProject-based Learningを主として用いている 5年生の材料科学実験・材料設計工学実験および3年生のプログラム概論機能材料基礎、そして低学年の授業として行動主義の学習法も取り入れている1年生の技術者倫理入門について、教育プログラムの再構築と教育評価方法の検討を行った。2、これらの授業について、他の授業への応用の可能性を調査しモデル作り(内容、教授法、教材、教育環境整備、教育評価等)を行った。3、 研究分担者及び協力者から構成されるデザイン研究ネットワークによる研究会を8月から3月までに11回、また他高専との研究会を6月、11月、3月と3回開催、その他種々の研究会において発表、議論し、その成果を発信するためにWEBページを立ち上げた。また、一年間の総括として、3月に行われた平成23年度実験・実習技術研究会 in 神戸大学にて、研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究推進のためのネットワーク組織を結成し定期的な研究会開催により研究を計画に沿って遂行している。また、情報発信のためのWEBページも立ち上げ、マニュアル作りに向けたコンテンツの整備も始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
1、平成23 年度の研究成果に基づいた2 順目のPDCA サイクルを回す。すなわち、23年度の研究成果に基づいてモデル教育プログラムを実施(DO)、実施した教育プログラムについて教育学理論に基づいた再分析・再評価を行い教育プログラムと教育評価方法の検討(CHECK)、「KOSEN型実技教育」として他の技術教育への応用を視野に入れた教育モデルを再検討(ACTION)、モデル教育プログラム(内容、教授法、教材、教育環境整備、教育評価等)を確立(PLAN)を繰り返す。2、他の技術教育への応用の可能性や汎用性(標準化)をめざして、モデル教育プログラムを客観的・総合的に評価するため、他機関や外国より複数の研究協力者ネットワークの協力を得て、関係者が一堂に会してのワークショップ研究会(議論・相互評価、情報交換)を、複数回開催する。平成23年度は研究準備に時間をかけたが、今年度は頻繁に実施する予定である。3、教育プログラムの評価は、統計ソフト等を用いて処理する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、前年度検討してきた教育プログラムの総合的・系統的な検証、再構築、他機関における試行またはヒアリング、関連する調査資料の整理・解析、及び関係者会合による研究成果の検討より構成される。従って、経費としては、教育プログラム開発費、学生実験用消耗品、打ち合わせ、ヒアリング等を含む研究者の旅費、関係者会合の開催、資料整理補助のための賃金、消耗品費が中心となる。また、学会発表やWEB等での研究成果の発信を行う計画である。1、物品費(¥190,000)(1)図書費:教育プログラム開発の過程での検証、再構築において、資料の購入が見込まれる。(2)消耗品費:教育成果のデータ整理のためのPCソフト、資料印刷経費である。また、教育プログラムの部分的見直しが必要となった場合、教材や既存設備の改善のための付属的設備・器具を要する。2、旅費(¥1,205,000)(1)研究成果の検討を目的とした、情報交換・相互評価が本研究の主たる手法である。関係者が一堂に会しての評価会、研究協力者に対するヒアリング、ワークショップ等の活動費である。(2)海外事例調査を1回行う予定である。3、人件費・謝金(¥85,000)ワークショップやヒアリング結果のとりまとめ、原稿起こし、教育の成果等の情報整理などのため資料整理補助や原稿起こしの業者発注のための経費である。4、その他(¥120,000)平成24年度は、本研究の経過に関するアウトリーチ活動を行う計画である。研究成果に関するワークショップの開催やWEB等により、本研究の成果を広く社会に発信し、次年度へのマニュアル完成に向ける。5、初年度は研究準備に時間をかけたため次年度使用額として430,681円が発生したが、代表者の299,521円は本格的に研究を始める24年度に必要となってくる物品費と旅費に、分担者の131,160は図書費と旅費に使用する。
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