2013 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒一人一人が安全かつ主体的に日食を観測するための教材の開発とその評価
Project/Area Number |
23501085
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
大西 浩次 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (20290744)
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Keywords | 金環日食 / 科学教育 / 科学リテラシー / 大規模観察 / 観測キャンペーン / 日食網膜症 / 太陽 / 太陽直径 |
Research Abstract |
平成24年(2012年)5月21日早朝に、全国の主要都市を横断する金環日食が起きた。この 金環日食は天文教育や科学教育の絶好の機会になる。反面、安全な観察指導が不十分な場合、多数の児童・生徒に目の障害(日食網膜症)を生じる危険性がある。 本研究では、金環日食における市民に向けた安全な観測の方法の広報活動を行い、児童・生徒向けの(1) 安全な日食観察教材の開発、(2) 観察支援、また、(3)児童・生徒の観察データを使ったサイエンスの実施を目標とした。 このため、日本天文協議会の日食WG(代表:大西)が中心となって、2012年日本日食委員会(委員長:海部宣男、副委員長:大西)を組織し、教材開発と安全な日食観察法の普及を行った。4回のシンポジウムを実施し、教員や社会教育施設・マスコミの方々への日食観測における注意喚起を行った。さらに、日本眼科学会、日本眼科医会と連携し、「2012年5月21日 日食を安全に観察するために」を製作し、文部科学省より、全国の学校および社会教育施設に周知した。 さらに、金環日食の (1)限界線(金環日食と部分日食の境界線)を児童・生徒の日食メガネを使った観測で決めるプロジェクト、および (2) ビデオ観測による太陽直径の精密計測プロジェクトを実施した。日食メガネの観測では、約3万人のデータ解析の結果、太陽サイズを10万分の1以上の精度で求めることができた。これは、児童・生徒のデータでもうまく企画された大規模観察会では、高い精度の科学計測ができる実践例であった。ビデオ観測では、太陽の周辺減光曲線を高い精度に測定することに成功した。これらは論文製作中である。大規模観察による科学計測の拡張として、平成25年度には2つの彗星観測キャンペーンと銀河系中心巨大ブラックホールに関する天文教育の実験を行った。これらより、多数の市民データから科学解析ができる事を示した。
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