2011 Fiscal Year Research-status Report
クリティカルシンキング育成のための学習ツール開発:認知心理学からのアプローチ
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23501099
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (00334566)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | クリティカルシンキング / 生きる力 / 心の科学 / 認知体験型学習 / コミュニケーション / 発達教育工学 |
Research Abstract |
本研究では、小学校高学年から中学生を対象とした「クリティカルシンキング」育成のための認知体験型学習ツールを開発することが目的である。児童・生徒のクリティカルシンキングを発動させるには、日常に密着した認知的事象(例えば、錯視、記憶、推論、問題解決など)を通して、体験的に思考を導くことが重要である。そこで、本研究では、学習ツールに認知的事象を素材とした実験コンテンツを組み込み、その学習ツールを用いたクリティカルシンキングの授業を考案し、現場教師と連携して、授業実践と効果測定を行う。 研究初年度である今年は、(1)認知的事象を効果的に視覚提示・体験するための授業用プレゼンテーションの作成および学習ツールのコンテンツ案の検討(携帯通信デバイス等開発の準備)、(2)上記(1)を組み込んだ学習ツール(試作版)を用いた模擬授業の実施、(3)クリティカルシンキング尺度(小学生版及び中学生版)の開発、(4)上記(2)および(3)の分析に基づく次年度以降の授業実施プログラムの検討、の4点について重点的に取り組んだ。 研究成果の一例として、中学生のクリティカルシンキング尺度の開発およびその尺度を使用したパネル調査では、「クリティカルシンキング態度」を獲得する一連のプロセスが確認された。中学生の「クリティカルシンキング態度」を育成するためには、その前段階として、情報をうまく活用できる「情報リテラシー」の育成を優先する必要があること、また勉強に対する興味・関心を刺激し、内発的で内生的な「学習意欲」を高めること、さらに物事の真理を追い求める「探究心」を他のクリティカル態度に先だって高める必要があること、などが確認された。以上の調査結果を踏まえ、引き続き、効果的な授業プログラム及び学習ツールの開発に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度達成すべき主な課題は、(1)授業プレゼンテーションの作成および学習ツールのコンテンツの検討と試作、(2)模擬授業の実施、(3)尺度開発および調査・分析、(4)次年度以降の授業プログラムの検討の4点であったが、現在約7割以上達成している。 特に(3)と(4)に関しては、成果を学会発表や論文にまとめるに至った。(2)の授業実践も順調に進んでいるが、(1)のなかでも特に学習ツールにおけるコンテンツの検討と試作については、タブレットなどで使用可能なプログラム開発(携帯通信デバイス等における開発)を検討していることもあり、プログラム・デザインなどツールを試作する段階でかなりの時間を要するため、この点についてのみ当初の計画よりも若干遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、認知体験型の学習ツール(特に、携帯通信デバイス等における開発の準備)の完成に向けたコンテンツ案を作成することが主要課題となる。本課題を適切かつ円滑に遂行するため、当初の研究計画に加え、新たに必要に応じて研究協力者を交え専門的知識の提供を求め、具体的かつ定期的に検討を行う。 また、本研究におけるクリティカルシンキングの教育実践および調査に関して、教材・プログラム内容、指導法、学年等で効果を詳細に分析し、その分析に基づいて学習ツールの開発を進める。 調査では、児童・生徒のクリティカルシンキング尺度を完成させると同時に、プレゼンテーションおよび学習ツールの改善を重ね、クリティカルシンキングに関する認知体験型の学習ツールおよび教育プログラムの完成版を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については、主に、(1)前年度の成果発表、(2)研究協力者への謝金、(3)教育実践および実践に伴う調査・解析、の3点に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)