2012 Fiscal Year Research-status Report
クリティカルシンキング育成のための学習ツール開発:認知心理学からのアプローチ
Project/Area Number |
23501099
|
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
池田 まさみ 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (00334566)
|
Keywords | クリティカルシンキング / 生きる力 / 認知体験型学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、児童・生徒の「クリティカルシンキング」育成のための認知体験型学習ツールの開発とその教育プログラムの有用化にある。近年、「生きる力」の核として、早期からのクリティカルシンキング教育が重視されているが、教育現場では具体的な教授法や教材はまだまだ不足している状況である。そこで本研究では、認知心理学の知見に基づいて、児童・生徒の思考を効果的に導く学習ツールを考案、開発する。 学習ツールの開発では、児童・生徒のクリティカルシンキング態度や習得状況などを調査研究によって把握し、その分析に基づいて、学年や習得レベルに応じた学習コンテンツおよび教授法を検討する必要がある。また、学習ツールが教育現場において有効活用されるためには、現場教師と連携し、授業実践のなかで学習ツールを改善していくことが重要である。 本研究ではこれまで、中学生を対象としたクリティカルシンキング授業を実践すると同時に、中学生向けのクリティカルシンキング尺度を開発し、縦断的に中学生のクリティカルシンキング態度に関する調査を実施してきた。今年度は主に、これまでの調査および授業実践の分析結果を踏まえ、より汎用的な学習ツールのコンテンツおよび教授法を検討することが課題であった。将来的にはICTを活用した学習ツールを開発することを視野に入れ、今年度はまず、大学生を対象に、大学の関連授業のなかで本研究とのリンクを図り、既成のアプリケーションやクラウドサービスなどを用いて、通信デバイス(スマートフォン、携帯電話など)を介した思考のアウトプットやフィードバックなど、「思考のやりとり」を中心としたクリティカルシンキング教育を実施し、その特徴や効果を分析した。デバイスの使用によるメリットとデメリットなどを確認することにより、学習ツールのコンテンツを具体的に検討するに至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主な課題は、ICTを活用した学習ツール開発を視野に入れ、そのコンテンツを具体的に検討することであった。研究協力者に依頼し、複数の大学において、関連授業のなかで通信デバイス(スマートフォン、携帯電話など)を介した「思考のやりとり」について効果を検証し、具体的に学習コンテンツを検討、考案した。次年度以降は、このコンテンツを現場の授業実践に組み込んでいく。 当初の計画以上に進展している点として、本研究ではこれまで、小学校高学年から中学生を対象に研究を進めてきたが、「高校生のためのクリティカルシンキング講座」を実施する機会(25年7月に実施予定)を得るなど、研究対象の範囲が拡張しつつある。これを機に、次年度以降、高校生についてもパネル調査を実施し、中学生と高校生のクリティカルシンキング態度の獲得プロセスについても比較・検討を行い、より汎用的な学習ツールの開発を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、これまでの研究成果を整理すると同時に、研究目的を確実に達成し、展開していくため、研究体制を見直し、効率的かつ的確に研究の遂行を図る。 具体的には、本研究のサブリーダとして、研究分担者を配置し、それぞれに各専門分野における研究の取り纏めを依頼する。研究体制を改善する理由は、本研究の対象範囲が中学生から高校生まで拡大したこと、またそれに伴い、調査および教授法の考案や実践など専門に関する研究が拡張し、当初の規模を超えて研究が進展していることがあげられる。これまで、専門的知識の提供としてサポートを得ていた研究協力者をそれぞれ各専門分野のリーダとする形で、研究遂行の円滑化と促進を図る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究体制の改善に伴い、研究分担者2名にそれぞれ、調査・解析に係る費用、および、教授法の開発・授業実践に係る費用として、今年度経費の1/4程度ずつ配分する。 また、研究成果をまとめるにあたり、一部専門家のアドバイスや指導など専門的知識の提供としての謝金が発生する見込みである。資料整理など学生への謝金も発生する。 さらに、論文投稿や学会発表、報告書など、主に研究成果の発表に係る費用として、投稿料、学会出張費、印刷費等を使用する予定である。
|
Research Products
(8 results)