2011 Fiscal Year Research-status Report
教職キャリア発達の観点から見た現代の教員に必要な資質能力に関する研究
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23501147
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
古川 雅文 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (80153518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 久明 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (10127269)
長澤 憲保 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (60228004)
寺尾 裕子 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10210957)
鈴木 正敏 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90273820)
別惣 淳二 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (90304146)
小柳 和喜雄 奈良教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00225591)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教職キャリア / 教員の資質能力 / キャリア発達 / グラウンデッドセオリー |
Research Abstract |
本研究全体の目的は,次の3つであった。(1)現代教員の資質・能力に関して,教員養成から若手,さらには中堅教員としての教職キャリアに沿って必要とされるコンピテンシーの発達的変化を捉える。(2)海外における教職キャリアに沿った資質能力への対応と,わが国とを比較することにより,上記の目的をより明確にする。(3)以上の結果から,若手教員,中堅教員に求められるコンピテンシーを含む教職スタンダードの試案を作成する。 本年度は,このうち(1)について,初任者からベテランまでの幅広い年代の教師に,現代の教員として必要な資質能力について,自己の経験を踏まえながら自由に話してもらうという,半構造化面接を行った。対象者は,教職経験年数により,初任期(3年未満)5名,若手(3年以上5年未満)2名,中堅(6年以上15年未満)3名,ベテラン(16年以上)2名の計12名であった。 面接記録はすべて文字に起こし,そのデータを基に,修正グラウンデッドセオリーにしたがって分析を行った。その結果,「専門分野研究力」「対保護者・地域コミュニケーション力」「子ども理解包容力」など,20の概念を生成した。さらに,その概念を基に「授業」「子どもとの関わり」「クラス運営」「総合的視野」「連携」「教員の礎」の6個のカテゴリーを生成した。最後に,これらを経験年数との関わりで整理し,カテゴリー及び概念間の関係を図示した。これらの分析から,教職キャリアを積むにつれて,教員養成スタンダード等で示されている,教員養成,採用時に求められるもの以外の資質能力が発生し,教員に必要な資質能力は,教職キャリアの発達に伴って発展的に変化していくことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は,当初の計画通りに,年度の前半に研究会議を重ね,後半に,研究分担者によるデータ収集を行った。調査対象者は,12名であり,今後,若干の追加データの収集が必要とも考えられるが,現在得られた結果からでも,教職キャリアを積むことによって変化する教員に必要な資質能力について面接法により質的に捉えるという目的は達せられたと考えられる。 平成23年度に得られた結果は,次年度の質問紙による量的検証と,海外の教職キャリアに対応した教育・研修システム等に関する調査を遂行するうえで有用な資料となる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究全体の目的は,次の3つであった。(1)現代教員の資質・能力に関して,教員養成から若手,さらには中堅教員としての教職キャリアに沿って必要とされるコンピテンシーの発達的変化を捉える,(2)海外における教職キャリアに沿った資質能力への対応と,わが国とを比較することにより,上記の目的をより明確にする,(3)以上の結果から,若手教員,中堅教員に求められるコンピテンシーを含む教職スタンダードの試案を作成する。 このうち,平成24年度には,(1)について,国内の現職教員を対象に質問紙調査を行う。また,(2)については,海外の現地を訪問しての調査を行う。 平成25年度には,それまでの調査で不備な部分を補完するための調査を行うとともに,(3)について,提言及びスタンダード試案を作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は,主として,国内における質問紙調査の実施のための物品費,データ処理のための謝金,海外調査及び研究成果発表のための旅費,およびその他本研究に必要な書籍や物品の購入に使用する予定である。
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