2011 Fiscal Year Research-status Report
幼児・児童の避難行動における経路誘導ナビゲーションと教師の遠隔指示システムの開発
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23501190
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Research Institution | Kansai Gaidai College |
Principal Investigator |
森田 健宏 関西外国語大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30309017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 基寛 甲南女子大学, 文学部, 講師 (40469268)
上椙 英之 神戸学院大学, 人文学部, 研究員 (50600409)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 子ども向けナビ / 防犯・防災対策 / 安全教育 / 子どものユーザビリティ / 園務情報化 / ナビゲーション / 避難行動 / 教師教育 |
Research Abstract |
本研究は、幼児~小学校低学年児の防犯、防災教育支援の一環として、災害発生時における避難行動について、大人による誘導や支援が困難な場合の経路誘導ナビゲーションのインタフェース開発と、通信復旧時の教員による経路確認および指示システムの検討を目的としている。本年度は、当初の計画に基づき、2つの調査研究に着手した。第一に、市販のポータブルナビ、携帯電話搭載ナビ等について悉皆調査を行い、機能分析を通じて低年齢児の利用可能性について検討した。主な結果は、(1)画像の高解像度化によりアイコンやランドマークの精密性が向上しているが、同時に周辺情報も詳細となったため、子どもの場合、位置情報の特定が困難になる可能性があること、(2)サブ画面情報や写真情報との合成、キャラクター設定など、情報が豊富になっているが、冗長な内容が中心情報になっているものも見られたこと、(3)歩行者向け機能の充実はナビゲーション専用機よりも携帯電話用アプリケーションに多く見られ、高架橋や地下道を優先とした検索機能も実用性が高くなっていること、などが確認された(詳細なデータリストは別途HPにて公開予定)。ただし、いずれも子ども利用を想定して開発されていないため、これらの調査データおよびこれまでの実験データに基づき、「子ども向けナビ開発のための指針」の作成が必要と考えられた。第二に、教師による経路誘導システムは、防犯、防災対策という校務の情報化に集約されるべきものであるため、現行の園務情報システムを対象とした機能分析および導入園のヒアリング調査を行った。さらに、全国500園の幼稚園を対象に機能のニーズについて郵送アンケート調査を行った。その結果、園務情報システム既導入園のうちほとんどが部分導入(または部分利用)であり、未導入園を含め、導入を支持する園務機能として「防犯、防災対策」が高位になっていることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
調査研究の必要性と充実化を考え、機器購入による調査を削減し、また、機器開発メーカー等の訪問調査件数を削減し、園務情報システムについての郵送調査を行い、現職教員への実用性やニーズを詳細に検討できた。これにより、教育現場の真のニーズに即した研究開発につながるよう、有意義な調査研究へ軌道修正を図ることができたと考えている。さらに、これらの調査結果と過去の実験データを照合しながら、日本教育工学会への論文投稿や日本教育メディア学会等への学会発表につなげることができた。ただし、当初予算において、実験プログラムの構想を並行で動かすべく費用を本年度も確保していたが、「ものづくり」と「現在の現場ニーズ」とが乖離する可能性が憂慮され、調査研究への専念とした。そのため、一部予算を次年度繰越に扱っているが、その分の調査結果の意義は大きく、年度単位で考えれば「調査研究については当初の計画以上に進展している」と判断しており、全体的な進展に遅れがあるとは考えていない。これらの結果を十分に考慮し、次年度の実験プログラムの開発と実験実施につなげていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(2年目)より、子ども向けナビゲーションを想定した実験プログラムの開発、および教師用経路誘導シミュレーターの開発に着手する。1年目の調査研究の充実により、教育現場のニーズが明確となり、当初計画よりもさらに実用性を考慮した実験が可能になると考えている。とりわけ、教師による避難経路誘導シミュレーターの実験は、子ども向けナビの必要性と実用性の理解を促す上で、非常に重要になると考えている。そのため、当初計画の「研究2:子ども向けナビの適切なインタフェースを開発し、実験によりその有効性を明らかにする」件と、「研究3:教師による通信復旧時の避難経路誘導シミュレータの実験プログラム開発と実験の実施」の件については、順序を入れ替え、先に「研究3」の実験着手を目指し、研究報告を各学会等で行うとともに、その結果が、「研究2」でめざすインタフェース上に反映される実験プログラムにまで展開できるよう、目指していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度(2年目)は、「研究2」および「研究3」の実験プログラム等、いわゆる「ものづくり」が中心となる。その費用を1年目の直接経費において節約保留し、本年度に繰り越したため、本年度(2年目)配当分と効果的に合算使用できる。この点は、基金化による恩恵を受けていると考えている。また、各学会への参加と、本研究からの連携は現状では困難であるが、経済産業省が推進する「G空間プロジェクト」によるナビ開発と実用化に向けた情報収集のための出張にも利用し、研究の進展に活かしていきたい。なお、分担研究者1名(上椙英之)の役割を「プログラム開発を中心とした担当」から「実験実施を中心とした担当」に変更し、プログラム開発を一部外注することとした。そのため、研究者間の予算配分を見直した。また、分担研究者1名(川瀬基寛)が所属異動(甲南女子大学(兵庫県)→十文字学園女子大学(東京都))になったため、研究者間打ち合わせに必要な旅費が増加することになる。その点を含め、当初の区分内の配分予定と異なる可能性があることをご理解いただきたい。
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