2011 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌幹細胞の性質を規定するエピゲノムおよび機能性RNAの解明
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23501261
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20381254)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 癌幹細胞 / エピジェネティクス / メチル化 / microRNA |
Research Abstract |
申請者はこれまで胃癌・大腸癌細胞を用いてエピゲノム解析およびmiRNA発現解析を組み合わせることで、miRNA遺伝子のエピジェネティックな制御異常を明らかにしてきた。この知見をさらに発展させるため、大腸癌細胞株(HCT116・RKO・DLD1)におけるmiRNA発現プロファイルをmiRNA TaqMan array V3 (Applied Biosystems)を用いて解析した。その結果、脱メチル化処理後において発現回復するmiRNAを新たに100種類以上同定した。近傍のCpGアイランドメチル化を解析した結果、大腸癌においてDNAメチル化により発現抑制を受けるmiRNA遺伝子を3種類同定した。 生検や腺管分離によって得られた臨床検体におけるエピゲノム解析を実施するためには、微量検体を対象にしたクロマチン免疫沈降(ChIP)実験を成功させる必要がある。そこでChIP実験の最適化を行い、1×10の5乗個の細胞から安定した結果が得られることを確認した。最適化したChIP実験プロトコルを用いて、大腸腫瘍および正常大腸の生検組織、分離した大腸腫瘍腺管および正常大腸腺管におけるエピゲノム解析を行った。具体的にはトリメチル化ヒストンH3リジン4 (H3K4me3)およびトリメチル化ヒストンH3K27 (H3K27me3)に対する抗体を用いてChIPを行い、SOLiD4シークエンサーを用いてChIPシークエンス解析を行った。次に得られたシークエンスデータをヒトゲノム上にマッピングし、ピーク検出を行った。これまで4症例のシークエンス解析を行い、3症例から良好なシークエンスデータを得ることが出来た。得られたデータは今後、遺伝子発現およびmiRNA発現プロファイルと統合解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸癌細胞を用いたmiRNA発現プロファイル解析を行い、エピジェネティックな制御を受けるmiRNA遺伝子を複数同定することができた。また生検などの臨床検体や癌幹細胞などの微量検体からのエピゲノム解析には、ChIP実験の最適化がキーとなる。これをクリアすることに成功し、臨床検体からのChIPシークエンス解析を順調にスタートする事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後のエピゲノム解析では、臨床検体より腺管分離法を用いて癌細胞を分離することで、非癌細胞によるノイズを含まないデータを得ることが必要と考えられる。また、癌幹細胞の分離法の確立がキーとなる。さらに遺伝子発現、miRNA発現などのトランスクリプトームと、エピゲノムデータとのシームレスな統合解析を推進する必要がある。そのため、Gene Spring GX、Avadis NGSなどのアプリケーションを用いた解析を今後推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
臨床検体におけるmiRNA発現プロファイルを、TaqMan miRNA arrayを用いて解析する。さらに臨床検体におけるエピゲノムを、SOLiD4シークエンサーを用いて解析する。同定したmiRNA遺伝子のメチル化をパイロシークエンサーを用いて解析する。これらの解析のために試薬消耗品を購入する。さらに研究成果を、国内学会で発表する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Upregulation of miR-196a and HOTAIR drive malignant character in gastrointestinal stromal tumors2012
Author(s)
Niinuma T, Suzuki H, Nojima M, Nosho K, Yamamoto H, Takamaru H, Yamamoto E, Maruyama R, Nobuoka T, Miyazaki Y, Nishida T, Bamba T, Kanda T, Ajioka Y, Taguchi T, Okahara S, Takahashi H, Nishida Y, Hosokawa M, Hasegawa T, Tokino T, Hirata K, Imai K, Toyota M, Shinomura Y
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Journal Title
Cancer Res
Volume: 72
Pages: 1126-1136
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Epigenetic alteration of DNA in mucosal wash fluid predicts invasiveness of colorectal tumors2011
Author(s)
Kamimae S, Yamamoto E, Yamano HO, Nojima M, Suzuki H, Ashida M, Hatahira T, Sato A, Kimura T, Yoshikawa K, Harada T, Hayashi S, Takamaru H, Maruyama R, Kai M, Nishiwaki M, Sugai T, Sasaki Y, Tokino T, Shinomura Y, Imai K, Toyota M
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Journal Title
Cancer Prev Res
Volume: 4
Pages: 674-683
DOI
Peer Reviewed
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