2011 Fiscal Year Research-status Report
p53コドン72SNPによるp53活性化挙動変化の解析
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23501267
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土生 敏行 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教 (70346071)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん抑制遺伝子 / 遺伝子改変 / SNP / 外的要因ストレス / パピローマウイルス |
Research Abstract |
SNP(single nucleotide polymorphism)は疾患への感受性や外的因子への応答に深く関わっている。SNPと外的要因による細胞影響研究の理解にはその実験系の構築が重要であると考えられる。その代表例として申請研究ではp53 SNPに着目した。ヒトp53 にはヒトだけが持つ72 残基SNP も同様にハピローマウイルス(HPV)起因の子宮頸がん発症と関連し、このSNP がp53 標的遺伝子発現誘導能に深く関わっているとされてきた。本申請研究では23年度中に相同組換えにより人工的にSNP を導入した細胞を確立し、遺伝的同種の背景を持つ細胞間でのp53 SNP差が及ぼす影響を調べることを目標に研究を進めてきた。第一点目の人工的にコドン72のアルギニンを持つ大腸がん由来細胞HCT116細胞にノックインベクターを用いてコドン72をプロリンに変換したヘテロアリルを持つ細胞の取得を行い、ゲノムDNAをPCR及びサザンブロッティング法により確認し3株のコドン72ヘテロアリルを持つ細胞の取得に成功した。Proアリルをホモに持つ細胞取得に同様な方法により2株のホモ遺伝子座をもつ細胞に成功した。よってこれを用いてProアリルだけを持つHCT116細胞として後の実験に使用することにした。これら細胞を用いた外的要因への影響実験を順次行っている最中でp53 コドン72のSNPを用いたSNPと外的要因影響の研究材料の構築に成功した。これらSNP差だけを持つ細胞の構築は他の遺伝的要因を排除して解析できる大変有用な細胞であると思われる。さらにHPVに対するp53応答を観察するためにHPV E6を導入したHCT116細胞を樹立し、HPVとp53 コドン72 SNPの基礎的なデータを得る唯一の系を構築でき基盤研究により大きな発展が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では相同組換え技術を用いたSNP 導入ヒト細胞を用いた新しい試みにより、ヒト大腸がん由来細胞株においてp53 SNP コドン72ArgからProへ変換した細胞を作成することに成功した。この成功はSNPや変異など自在に細胞を改変できる技術であることから癌や遺伝子疾患での解析をより簡便に行える解析確立の中心的技術になると考えられる。この細胞株を用いた外的要因ストレスへの応答変化、HPV E6に対するp53の安定性及び細胞の応答変化等の解析を現在精力的に進めている。一方パピローマウイルス起因子宮頸がんとp53 解析に適したパピローマウイルス感染ヒト子宮頸部類上皮種由来細胞でのP型ホモ遺伝子座を持つ細胞の作製も現在手掛けているが、ヘテロ遺伝子座を持つ細胞株の取得もできておらず、この技術を用いた遺伝子改変に適した細胞であるかどうかを検討中である。相同組換えによるノックインと同等の技術であるヌクレアーゼを用いた方法での遺伝子改変も現在進行させており、パピローマウイルス感染ヒト子宮頸部類上皮種由来細胞でのp53 SNP差の解析を推進めていきたいと考えている。p53 P型及びR 型細胞でのパピローマウイルスE6 に対するp53 タンパク質の安定性、挙動変化の再現実験を行うためにヒト大腸がん由来細胞株にHPV E6を導入した細胞の作製も手掛け、その細胞でのp53 R型ではE6に対して非常に不安定化することを再現できた。さらにDNA損傷応答においてもR型細胞はE6の存在により細胞死制御が攪乱されていることも再確認できた。この同様の実験を上述したP型p53をもつ細胞においても行うためE6を恒常的に発現する安定株を現在取得中である。これら実験はパピローマウイルス感染ヒト子宮頸部類上皮種由来細胞での実験を模倣できると考えられ本申請研究の理解につながると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
HCT116 細胞系列樹立細胞を用いて外的因子(DNA 損傷ストレス、酸化ストレス、その他薬剤ストレス)に対する細胞増殖性の変化、細胞周期変化、感受性変化等の違いを比較検討を引続き行っていく。外的要因に対するp53 標的遺伝子群の発現プロファイルを作成及びパピローマウイルスによるp53 タンパク質の安定化の解析及びそれに伴うp53 標的遺伝子発現誘導の変化の発現プロファイルの作成を本格的に進め、本年度の早い段階で全体像を浮彫にしていく方針である。またパピローマウイルス感染ヒト子宮頸部類上皮種由来細胞でのp53 SNP導入に成功していないが、新規のヌクレアーゼによる変異導入技術によってその取得を本年度中に成し遂げたいと考えている。さらにヒトサンプルにおいてR型及びP型さらにヘテロ型のB細胞(EBVによる株化した細胞)を共同研究により取得することもできたことでがん細胞だけでなく正常人での共同解析比較が行うことが可能となったことで、幅広くp53 コドン72SNP理解を推進めていくことができる環境も整えることができた。上記以外の点では研究遂行に支障はなく24年度に計画の80%程度は終了できると予測している。計画の研究によりp53のSNPと外的要因との関連性を明らかにできる研究材料の構築ができ、更なる研究の八手につなげる研究ができていると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書通り本年度の研究費はp53 SNPに基づいたマイクロアレイ等の発現解析や細胞構築研究のための消耗物品に使用する予定であるが、韓国の研究者との打ち合わせ及び研究遂行に20万円を予定している。また進捗状況によっては本年度中の論文発表も考えられることから一部出版料を25年度に申請している分を本年度に使用変更することもあると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Expansion of Intronic GGCCTG Hexanucleotide Repeat in NOP56 Causes a Type of Spinocerebellar Ataxia (SCA36) Accompanied by Motor Neuron Involvement2011
Author(s)
Kobayashi, H., Abe, K., Matsuura, T., Ikeda, Y., Hitomi, T., Akechi, Y., Habu, T., Yang, W.L., Okuda, H. and Koizumi, A.
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Journal Title
Am. J. Hum. Genet.
Volume: 89
Pages: 121-130
DOI
Peer Reviewed
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