2012 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化・脱分化を制御するInk4/ARF遺伝子座の調節機構の解析とその応用
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23501277
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中出 浩司 独立行政法人理化学研究所, 遺伝子材料開発室, 協力研究員 (20392053)
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Keywords | 細胞分化 / iPS / 老化 / 心筋細胞 / アデノウイルス |
Research Abstract |
Ink4a/Arf 遺伝子座より転写翻訳されるInk4aとArfは細胞ストレス性の刺激に応答して細胞周期に抑制的に働く癌抑制遺伝子であるが、一方でInk4a/Arfのノックアウトや低酸素状態などストレス応答性のInk4a/Arfの発現上昇を抑制する条件下でinduced pluripotent stem cells(iPS)の作成効率が高まるという報告より、細胞工学的応用のターゲット因子としての可能性も期待されている。我々はInk4a/Arf の制御による分化・脱分化系への影響を検討するため、iPS誘導因子のOct4,Sox,2,Klf4,c-mycを発現するアデノウイルスベクターを作成した。これをマウス胎児繊維芽細胞(MEF)に導入したところ、アルカリホスファターゼ染色陽性をしめすコロニーが得られ、免疫蛍光染色によりマーカータンパク質のNanog、Ssea1等の発現が確認された。一方で、最近ではiPSを経ないで遺伝子導入により直接目的組織に分化誘導させる手法が開発されつつあり、その一例として注目されているものに直接心筋誘導系(iCM)があげられる。この系は繊維芽細胞をGata4, Mef2c及びTbx5の同時発現により直接心筋細胞に分化させる手法で、心筋梗塞により失われた心筋を補填する根本的な治療法として期待されている。我々はこのiCM系におけるInk4a/Arfの影響を検討することを目的として、この三因子を同時発現するアデノウイルスベクターを構築し、これをMEFに感染させたところ2週間後に心筋細胞のマーカー遺伝子のcTnT(cardiac Troponin T)とActininのmRNAの増大がリアルタイムPCR法において認められた。またcTnTとActininに対する抗体を用いて細胞を標識し、FACSにより検出を試みたところ、約20%の細胞で発現が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はiPSを誘導するアデノウイルスベクター系と心筋細胞を誘導するアデノウイルスベクター系をそれぞれ開発することができ、これらの系の機能評価を行ったところ概ね良好な結果を得ることができた。更なる効率化に向けた詳細な条件設定等、改善すべき余地はあるが、これらのベクター系は将来の細胞工学的、医用工学的応用として副次的に役立つことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後Ink4a/ArfをshRNAによりノックダウンした、もしくは低酸素状態でInk4a/Arfの発現を抑制した条件下において細胞の分化・脱分化誘導実験をおこない、Ink4a/Arfのこれらの系への影響を比較検討し、より効率的な系の構築を目指していく予定である。 また直接心筋細胞誘導系は最終的にはin vivoにおける機能性評価を目指しており、この評価系に使用しやすいようGata4, Mef2c及びTbx5に加えて蛍光タンパク質を同時発現するウイルスを開発し、感染細胞を追跡できる系の構築を試みていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウシ胎児血清 100,000円、培地類 200,000円、抗体類 300,000円、DNA合成費 100,000円、shRNA作成費 100,000円、 Real-timePCR用試薬100,000円、プラスチック製品 100,000円酵素類 100,000円、有機溶媒・試薬類 100,000円、旅費100,000円 二年度以降はアデノウイルスを用いたiPS構築系および心筋細胞作成条件検討のための細胞培養用品と、免疫染色用抗体が必要になるため、これらの購入費を多めに計上した。 前年度の繰り越し予算が発生した状況として、年度末に購入予定の抗体の国内在庫がなく、購入を次年度に繰り越したなどの理由があげられる。
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[Journal Article] Induction of cardiomyocyte-like cells in infarct hearts by gene transfer of Gata4, Mef2c, and Tbx5.2012
Author(s)
3. Inagawa K, Miyamoto K, Yamakawa H, Muraoka N, Sadahiro T, Umei T, Wada R, Katsumata Y, Kaneda R, Nakade K, Kurihara C, Obata Y, Miyake K, Fukuda K, Ieda M.
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Journal Title
Circulation Research
Volume: 111
Pages: 1147-1156
DOI
Peer Reviewed
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