2011 Fiscal Year Research-status Report
環境標的治療法開発のためのSp1依存性癌細胞新規低酸素応答メカニズムの解明
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23501280
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
小井詰 史朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (60416063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 洋平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (00254194)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ハイポキシア |
Research Abstract |
申請者はこれまでに低酸素環境に暴露された癌細胞中において異所的fVII遺伝子発現が従来知られている低酸素誘導性転写因子HIF1alphaおよびHIF2alpha(HIFs)によるメカニズムとは異なり、HIF2alphaの転写因子Sp1との相互作用が関与するメカニズムにより誘導されることを明らかにした。具体的に低酸素環境下におけるfVII遺伝子発現誘導機構は、1)HIF2alphaが転写因子Sp1との相互作用を介して間接的に遺伝子プロモータに作用し、転写が活性化される。2)一般的な転写活性化メカニズムと異なり、ヒストンの脱アセチル化により活性化される。3)低酸素に加え、細胞を低血清環境で培養すると遺伝子発現が相乗的に増強される。等の特徴を備えた新規メカニズムであることを見出した。また、最近申請者はcDNAマイクロアレイ解析により類似のSp1依存性メカニズムで発現誘導を受ける遺伝子群を見出した。これら遺伝子群から選択した複数の遺伝子についてリアルタイムPCR,ウエスタンブロットを行なったところ、1)これら遺伝子はfVIIと同様に細胞が低酸素に加え、低血清環境に同時に暴露されることにより、発現が相乗的に増加する性質があること。2)相乗的遺伝子発現には小胞体ストレスに由来するUPRシグナリングではなく、mTORシグナリングが重要な役割を担うこと。等を見出した。現在本研究より得られた知見を基に低酸素、低血清条件における癌細胞の環境応答メカニズム解明と、この機序を標的とした癌治療法開発を目指し研究に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
FVII遺伝子発現メカニズムに関して詳細を明らかにし、論文発表した。cDNAマイクロアレイ解析も順調に進み、類似のメカニズムにより発現誘導を受ける遺伝子群を特定した。また、ChIP解析やレポーター遺伝子解析により個々の遺伝子のメカニズムについても多くの知見を得た。また、これら遺伝子が低酸素に加え、低血清環境に暴露されると遺伝子発現が相乗的に増加することなど予想以上の成果を得たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、特定した遺伝子の癌悪性形質獲得への影響をin vitroの実験により検討する。また臨床検体を用いた実験により臨床データと本メカニズムにより発現調節を受ける遺伝子産物との関連の検討も重要課題と考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
In vitro実験に必要な消耗品や免疫染色用試薬類の購入、研究成果発表のための費用(論文、旅費)等に充てる。
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Research Products
(14 results)