2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23501303
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
宮本 泰豪 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, 研究員 (90322742)
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Keywords | 癌 / 糖鎖 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
我々は、大腸癌、膵臓癌の糖脂質の詳細な構造解析を行った結果、ルイス型血液型が陰性の人に特異的に発現する癌特異的糖鎖抗原Sialyl Type1H(ST1H)の存在を発見した。本研究の目的は、ST1Hを特異的に認識する単クローン抗体を作成し、ヒト血清でのST1H抗原量を測定するELISA系を構築し、腫瘍マーカーとしての有用性を評価することである。昨年度は合成した糖脂質ST1Hをマウス免疫し、定法に従ってハイブリドーマを得た。ELISA法を用いてスクリーニングを行い、ST1Hを特異的に認識するが、他の異性体ST2H, Sialyl Lex, Sialyl Leaをほとんど認識しない単クローン抗体を11種類を得た。そのうちの9クローンがIgGで2クローンがIgMであった。今年度は、免疫組織化学を用いて、これらのクローンをさらに検討した。サンプルには、ST1Hの発現が確認されているルイス型陰性の大腸癌組織、正常大腸組織を用いた。これらの凍結切片を作成し、アセトンあるいは、4%パラフォルムアルデヒドなどで固定後、11種類のハイブリドーマの上清と反応させ、通常のABC法にて発色させた。免疫染色のコントロールとしてSLeA抗体を用いた。 SLea抗体は、ルイス陽性(Le+)の患者の大腸癌で陽性シグナルを認めるものの、ルイス陰性(Le-)の患者の大腸癌では、陽性シグナルが観察されなかった。このことは、染色方法に問題がないことを示す。一方、ST1Hのモノクローナル抗体である、23D11は、本来なら、ルイス陰性(Le-)の患者の大腸癌で陽性シグナルが観察されるはずであるが、固定法などをいろいろ検討したが、陽性シグナルは観察されなかった。23D11以外の10種類の抗体も、同様であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施計画は、出来上がった単クローン抗体の性状を詳細に検討することであった。昨年度の作成された単クローン抗体11種類の性状を詳細に解析した。ELISAの系では、11クローンすべてにおいて、ST1Hは認識するが、他の異性体(ST2H, SLex, SLea)は全く認識しないため、特異性が高いと思われた。しかし、免疫組織化学法で、検討すると、ST1Hの発現が確認されている大腸癌において、その発現を検出することが出来なかった。固定法などいろいろと検討したが、同様であった。実施計画に沿った検討は十分実施したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の得られた11種類の抗ST1H単クローン抗体は、合成したST1H糖脂質を免疫原に用いた。当然であるが、ELISAでは、この合成ST1Hを特異的に認識する抗体は得られた。しかし、実際の組織では、免疫組織化学法で検出すことができなかった。今後は、免疫原を変更して、再度、ST1Hに対する単クローン抗体の作成を試みる。具体的には、免疫原に合成ST1Hを用いるのではなくST1Hが発現している大腸癌細胞を用いる。その細胞をアジュバントと混合させ、マウスに免疫する。合成ST1Hは、抗体のELISAでのスクリーニングに使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、試薬類、チューブ、プレート類など、100万円程度予定している。備品としては、抗体などをストックするフリーザーが不足している為、フリーザー(SANYO MDF-U538D)45万円の購入を予定している。また、成果を学会、論文で発表する為、旅費10万円程度、論文投稿費用など10万円程度を予定している。
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[Journal Article] Strategy for SRM-based Verification of Biomarker Candidates Discovered by iTRAQ Method in Limited Breast Cancer Tissue Samples2012
Author(s)
Muraoka, S., Kume, H., Watanabe, S., Adachi, J., Kuwano, M., Sato, M., Kawasaki, N., Kodera, Y., Ishitobi, M., Inaji, H., Miyamoto, Y., Kato, K., Tomonaga, T.
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Journal Title
J Proteome Res
Volume: 11(8)
Pages: 4201-4210
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Analysis of polarized secretion of fucosylated alpha-fetoprotein in HepG2 cells.2012
Author(s)
Nakagawa, T., Moriwaki, K., Terao, N., Miyamoto, Y., Kamada, Y., Miyoshi, E.
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Journal Title
J Proteome Res
Volume: 11(5)
Pages: 2798-2806
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A strategy for large-scale phosphoproteomics and SRM-based validation of human breast cancer tissue samples.2012
Author(s)
Narumi, R., Murakami, T., Kuga, T., Adachi, J., Shiromizu, T., Muraoka, S., Kume, H., Kodera, Y., Matsumoto, M., Nakayama, K., Miyamoto, Y., Ishitobi, M., Inaji, H., Kato, K., Tomonaga, T.
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Journal Title
J Proteome Res
Volume: 11(11),
Pages: 5311-5322
DOI
Peer Reviewed
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