2011 Fiscal Year Research-status Report
PIポリアミドによるMYC下流遺伝子の発現抑制と抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
23501313
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相馬 正義 日本大学, 医学部, 教授 (30246855)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 昇 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (40267050)
上野 高浩 日本大学, 医学部, 准教授 (40386008)
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | ポリアミド / がん / MYC / E-box配列 |
Research Abstract |
本課題においては、前癌遺伝子Myc が結合するe-box配列に対し、塩基配列特異的転写抑制分子PIポリアミド(PIP) を作成し、腫瘍の増殖抑制を試みている。更に、PIP 投与により発現が変異する遺伝子をスクリーニングし、新規の抗癌PIPのターゲットを選び出し、より効果的な抗癌PIPを開発する事を目標としている。今までに白血病細胞株K562 においてPIP 処理により増殖抑制が見られる事を確認していたが、本年度はそれ以外の各種癌細胞株に対する効果を調べた。その結果、骨肉腫細胞株のいくつかにおいて効果がみられることが確認できたが、メラノーマ、膀胱癌、前立腺癌、肝癌細胞株の中にはPIP 投与による増殖抑制を示すものが見つからなかった。このことから。骨肉腫細胞株について解析を進めたところ、5~10uM のPIP を投与した骨肉腫細胞株MG63, HOS においては細胞増殖能の抑制がWST8 assay およびコロニー形成試験により確認でき、さらに細胞の移動能および浸潤能の抑制が、wound-healing アッセイ、matrigel invasion assay によってそれぞれ確認出来た。細胞の形態観察ではアポトーシスやネクローシス像は確認できず、PIP 処理により細胞死の誘導ではなく増殖抑制が起こっていると考えられた。経時的な観察の結果、これらの効果はPIP投与後72時間目以降に出現する事が判った事から、以降の解析はこの時間帯の前後で行う事とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の目標はPIP の効果がみられる癌細胞株をスクリーニングすることであり、少なくとも骨肉腫細胞株において、PIP による増殖、細胞移動、浸潤抑制が確認できたことから、目標は達成でき、24年度からの研究を行う上での基礎データが得られたと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
PIP の効果の見られた白血病細胞株および骨肉腫細胞株をそれぞれヌードマウス皮下に移植し、Xenograft を作成する。それらの個体にPIP を尾静脈投与し、Xenograft のサイズが縮小するか否か検討する。これと並行して、培養系にてPIP を投与した細胞株もしくは未処理の細胞株よりRNA を抽出し網羅的遺伝子発現解析を行う。白血病細胞株と骨肉腫細胞株でPIP 投与による発現プロファイルの変化を比較し、両者に共通して変異する遺伝子を絞り込む。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞株Xenograft 作成用のヌードマウス、およびAffymetrix GeneChip を用いた網羅的遺伝子発現解析、培養用の消耗品、学会参加費が主な使用目的である。
|