2012 Fiscal Year Research-status Report
PIポリアミドによるMYC下流遺伝子の発現抑制と抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
23501313
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相馬 正義 日本大学, 医学部, 教授 (30246855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 昇 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (40267050)
上野 高浩 日本大学, 医学部, 准教授 (40386008)
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
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Keywords | ピロール・イミダゾール・ポリアミド / E-box / Myc / 抗腫瘍薬 |
Research Abstract |
本課題においては、前癌遺伝子Myc が結合するe-box配列に対し、塩基配列特異的転写抑制分子PIポリアミド(PIP) を作成し、腫瘍の増殖抑制を試みている。更に、PIP 投与により発現が変異する遺伝子をスクリーニングし、新規の抗癌PIPのターゲットを選び出し、より効果的な抗癌PIPを開発する事を目標としている。今までに白血病細胞株K562 においてPIP 処理により増殖抑制が見られる事を確 認していたが、本年度はそれ以外の各種癌細胞株に対する効果を調べた。その結果、骨肉腫細胞株のいくつかにおいて効果がみられることが確認できたが、メラノーマ、膀胱癌、前立腺癌、肝癌細胞株の中にはPIP 投与による増殖抑制を示すものが見つからなかった。 このことから。骨肉腫細胞株について解析を進めたところ、5~10uM のPIP を投与した骨肉腫細胞株MG63, HOS においては細胞増殖能の抑制がWST8 assay およびコロニー形成試験により確認できた。MG63細胞を用いてさらに詳細な解析を行ったところ、PIP 投与後48時間目にアポトーシスのマーカーであるフォスファチジルセリンの外膜への移動、Cleaved Caspase 3 の発現が確認された。またMG63細胞をヌードマウス皮下に移植してXenograft を作成し、マウス尾静脈よりPIPの投与を行ったところ、有意な腫瘍増殖抑制効果を示した。さらにマイクロアレイ解析により、培養系においてPIP投与後発現の変化する遺伝子のスクリーニングを行い、PIPの制御をうける遺伝子の探索を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目標はマウスXenograft モデルを用いたin vivo におけるPIP 効果の検討、PIP の投与により発現が変化する遺伝子群のマイクロアレイを用いたスクリーニングであり、骨肉腫細胞株MG63に関しては両方とも遂行したことから予定通り進捗したと言える。白血病細胞株に関しては、in vitro での結果が安定せず、またXenograft の作成が予定通り進まなかったことから、MG63のみに限定し実験した。この点が予定と異なる点である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイの解析の結果、PIP投与により有意に発現が低下する遺伝子が複数スクリーニングされ、そのうち、2つの遺伝子X, Yにおいて転写開始点より1000bp 以内にPIPの結合サイトが存在した。このことからこの遺伝子X,Y の上流へのPIPの結合の有無、プロモーターのPIP結合部位が実際にプロモーター活性を持っているか否かの検討、X,Y を培養系でノックダウンした際の細胞の増殖率の変化を調べ、遺伝子X,Y がPIPによる増殖抑制効果を直接介在している遺伝子である可能性について検討する。これらの結果をふまえ、更に効果的なポリアミドの開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PIP下流候補遺伝子の培養系における機能解析、新規ポリアミドの合成とその培養系における作用解析に必要な試薬・器具類の購入を行う。また、学会参加費・論文作成のためにも研究費を用いる予定である。
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Research Products
(1 results)