2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510039
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
西薗 大実 群馬大学, 教育学部, 教授 (20228183)
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Keywords | フロン / 冷媒 / オゾン層破壊 / 地球温暖化 / 環境報告書 / フロン回収・破壊法 |
Research Abstract |
食品のコールドチェーン(低温流通システム)は、わが国では昭和30年代以降着実に整備が進み、今や生活に必須のインフラとなっている。しかし、一方で冷媒フロンのオゾン層破壊や温室効果などの環境負荷が重要な課題となっている。冷蔵・冷凍ショーケースを多数保有するスーパーマーケット等の流通機関が、冷媒フロンの排出を重要な環境情報として認識し、適切な排出削減対策を実施し、その実態把握と情報公表を行っているか、本研究では環境マネジメントの視点から調査を行っている。 平成24年度は、群馬県内の主なスーパーマーケット全店舗(230店舗)の店舗所有者または店舗責任者を対象として、ショーケースの冷媒管理に関するアンケート調査を実施した。その主要な結果として、23年度の調査で明らかになった第一の課題である、コンプライアンスに係る廃棄時・整備時回収について、その根拠法である「フロン回収・破壊法」の認知度は62%と低く、1/3以上が法そのものを知らないという状態であることが明らかとなった。実際には回収は法令に従って行っているものの、本社及び設備業者(第1種回収事業者)任せであった。次に、第二の課題である、現行法ではコンプライアンスに係らないが量的に主な排出要因である使用時漏洩・補充については、使用冷媒総量を把握し管理している店舗はわずか16%にすぎなかった。 以上より、冷媒が実存する当該事業所のサイトのほとんどでは、冷媒の管理が環境マネジメントの範囲に含まれておらず、課題が多いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である23年度には対象事業者の本社部門を中心に聞き取り調査を行い、事業者のフロン管理の状況を具体的に把握し、課題を抽出した。その内容をもとに、24年度は冷媒の実際の使用サイトである店舗レベルのアンケート調査を実施した。ここで得られた結果によって、交付申請書の「研究の目的」の主要部分を達成したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、研究計画・方法において、アンケート調査までの結果から冷媒フロン管理の優良事業所を見出し、モデルケース研究を行うこととしている。24年度までの調査を通じて、冷媒を扱う設備業者の中に、ISO14001の目的・目標・実施計画の項目として顧客の冷媒管理を掲げている事業者があることがわかった。25年度は、この業者への聞き取りを実施し、モデルケースとなる店舗を抽出して、そのマネジメントシステムを明らかにしたい。 また、最終年度となるので、論文発表及びホームページでの発信やシンポジウムにおける発表などの成果発表を積極的に行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の調査研究計画のうちアンケート調査までを順調に終了しているので、次年度はモデルケース研究に要する旅費、及び成果発表に要する旅費・消耗品費などへの使用を予定している。
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