2011 Fiscal Year Research-status Report
自然再生の順応的ガバナンスに向けた社会的評価システムの構築
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23510050
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
菊地 直樹 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 講師 (60326296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
敷田 麻実 北海道大学, 観光学高等研究センター, 教授 (40308581)
豊田 光世 兵庫県立大学, 環境人間学部, 講師 (00569650)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自然再生 / 順応的ガバナンス / 社会的評価 / 環境政策 / 地域再生 |
Research Abstract |
本研究課題は、自然再生が当該地域社会に与える影響・効果・課題などを評価する社会的評価モデルを構築することを通して、順応的ガバナンスに向けた政策と研究に有益な指針を提示することを目的としている。この目的を達成するため、本年度は以下の研究を実施した。(1)研究の理念とデザインの確定:6月に石川県加賀市で研究会を開催し、各々の研究テーマ、フィールドについて発表しあい、自然再生を社会的に評価する仕組みの構築という研究デザインを共有した。議論から自律、談義や討議といった双方向的なコミュニケーション、地域の問題解決システム、環境ストックといったキーワードを抽出した。(2)フィールド研究会:自然再生による地域社会への変化・効果・課題等を見出すため、主要ステークホルダーを対象としたフィールド研究会を実施した。調査対象は、石川県加賀市のラムサール登録湿地の片野鴨池、北海道鶴居村のタンチョウの保護を軸にした地域づくり活動、新潟県佐渡市の加茂湖の再生である。いずれも代表者と研究分担者が、これまで研究および実践的にかかわってきた地域であるが、本研究のデザインを踏まえた調査を実施した。(3)自然再生の社会的評価指標の抽出:フィールド研究会に合わせてワークショップを開催した。9月に北海道札幌市で実施したワークショップでは、先行研究のレビューを通して、知識・情報、ステークホルダー、ネットワーク、課題認識、目標設定、社会的評価、意思決定の方法、社会的ストックという自然再生の評価指標の抽出を試みた。2月に新潟県佐渡市で実施したワークショップでは、この評価指標を用いた事例の分析を試み、より動的な指標として設定し直す必要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3回のフィールド研究会を開催し、フィールドワークを実施することにより、自然再生が地域社会に与えた社会的影響に関する知見を深めることができた。フィールド研究会では、ワークショップを行い、(1)本研究の理念とデザインの確定、(2)自然再生の順応的ガバナンスについての先行研究に関する評価、(3)自然再生の社会的評価指標の抽出を実施し、暫定的な社会的評価指標を設定することができた。その指標を用いてこれまで蓄積してきた事例の再分析を進め、社会的評価モデルの構築に向けた議論を行い、暫定的な社会的評価指標の持つ有効性と課題を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
自然再生の社会的評価項目に関する現地調査を実施するとともに、それらの報告を行い、討議を重ねていく。(1)現地調査:2か所で調査地域で、暫定的に設定した社会的評価指標に関する調査を実施する。(2)事例分析:以上の現地調査で収集したデータを整理するとともに、社会的なフロー図を作成する。知識・情報、ステークホルダー、ネットワーク、課題認識、目標設定、社会的評価、意思決定の方法、社会的ストックという自然再生による地域社会への影響・効果・課題に関する指標の関係性について図表化する。(3)モデル構築に向けた議論:現地調査及び事例分析を踏まえ、敷田が提示している中間システムモデルなどを基本として、自然再生による地域社会の変容とその過程を包括的に評価するための理論的課題を抽出し、評価モデル構築に向けた作業をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、現地調査とミーティングが中心を占めるため、旅費の割合が高くなる。旅費は、ミーティングと中間総括の研究会の開催旅費を42万円、現地調査旅費を60万円、計102万円と計算した。また本研究では、多くの調査データを整理することが必要であるため、研究補助者への謝金を20万円と計算した。
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