2011 Fiscal Year Research-status Report
ヨード状態を軸とした新生児期化学物質暴露による甲状腺ホルモン系かく乱の定量解析
Project/Area Number |
23510076
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤本 成明 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40243612)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 繁幸 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (40136057)
佐能 正剛 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助手 (00552267)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 内分泌攪乱物質 / 新生児影響 / 甲状腺ホルモン / 肝臓 |
Research Abstract |
〔目的〕環境化学物質による甲状腺ホルモン系への攪乱作用は比較的最近になって注目されてきたが、胎生期、新生児期の影響は、形態形成異常・中枢神経系の発達障害を引き起こす重大なリスクであり、関与する因子やその毒性メカニズムを早急に明らかにする必要がある。本研究では、下垂体甲状腺肝臓系での内分泌攪乱の指標となる遺伝子群を同定して、それによりin vivo 影響を定量的に評価する。〔方法〕雄のF344ラットを用い、生後1、3、5日目にトリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)をそれぞれ 0.04mg、4mg/kg bw投与した。8週令で屠殺し、下垂体、甲状腺、肝を摘出してAGPC法によりtotal RNAを抽出した。肝臓のtotal RNAについて、アジレントのcDNAマイクロアレイを用いて、新生仔期無処置群とT3投与群の間の、遺伝子の発現レベルの比較を行った。定量的RT-PCR法により、マイクロアレイにより同定された遺伝子発現の確認および甲状腺ホルモン代謝遺伝子等のmRNAレベルを定量した。〔成果〕 T3、T4新生仔期投与群において、ホルモン応答性遺伝子RLT3-2, RLT3-24の発現が上昇し、ホルモン受容体関連遺伝子としては、TRα2 mRNAが増加した。また、ホルモン代謝関連遺伝子では、Sult1C3の発現上昇、DIOsの発現変動が見られた。〔考察〕 甲状腺ホルモンの新生仔期一時暴露により、成体期の下垂体甲状腺系の各組織で、甲状腺ホルモン関連遺伝子の発現が不可逆的に変更されることが示唆された。特に肝臓においては、マイクロアレイ解析により新生仔期影響を受ける遺伝子を新規に同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生仔期影響が遺伝子発現プロファイルの変化として同定できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
甲状腺ホルモンの新生仔期一時暴露により、成体期の下垂体甲状腺系の各組織で、甲状腺ホルモン関連遺伝子の発現が不可逆的に変更されることが示唆された。特に肝臓においては、マイクロアレイ解析により新生仔期影響を受ける遺伝子を新規に同定した。これらの遺伝子発現を指標することで、化学物質の新生仔影響を定量的に検索できると考えられ、今後、臭素化難燃剤等の甲状腺ホルモン作用をもつ環境化学物質の作用について検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物(ラット)特殊飼料(低ヨード食)遺伝子発現定量用試薬類発現ベクター作成、導入試薬
|
Research Products
(6 results)