2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23510121
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高野 秀和 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (50366548)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | X線集光 / ゾーンプレート / ナノビーム / X線顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、硬X線領域における新しい集光素子である、全反射ゾーンプレートの開発が目的である。当該年度においては、線集光が可能な一次元型素子について、設計、製作を行い、また、高精度の集光評価システム構築を行うことを目標としている。一次元型全反射ゾーンプレートは、平面基板に不等間隔回折格子を描画し、X線を全反射条件で入射することで使用するものである。当該年度では、一次元型全反射ゾーンプレートについて、ナノメートルオーダーの集光サイズを実現するための短焦点素子を7種、直交配置による点集光を実現するために組み合わせる長焦点素子を4種設計した。短焦点素子については、ラミナー型による効果の比較のため、これまでに15 nmの回折限界集光を達成した素子と同じパラメーターのものから、最小3.8 nmの回折限界を持つものまで、段階的に性能が異なる素子を設計し、長焦点素子については、直交配置の上流側に設置が可能でかつ理論集光サイズが小さい素子を設計し、最小15 nm以下の点集光が理論的に得られるようにした。回折格子パターンにはラミナー型を採用し、従来と比べて高い回折効率が得られるようにし、さらに、両面にベース膜を施した厚い基板を使用することで、基板の平面度を向上させることを目論んだ。作製はNTT-AT社により行われ、製膜、描画、パターンプロセス、切断の工程を経て納入が完了している。高精度の集光評価システムについては、既存品である高精度静電容量変位計を利用し、集光素子と評価用プローブである金属ワイヤーの相対位置をモニターするための冶具を作製した。これを従来の評価システムに組み込むことで、評価精度の向上を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度での目標である、一次元型全反射ゾーンプレートの作製については、作製、納入が完了しているが、作製において、描画パターンの端から0.2 mm以内での切断という要求仕様を満たすため、当初予定に比べて納期に遅れが生じた。このため、当該年度内での集光性能評価が不可能となったが、次年度早々に予定しており(当該報告書作製時点では評価済み)、全体計画における影響は少ない。高精度の集光評価システムについては、オフラインでの評価を行い、相対変位を高精度で測定していることを確認した。サブナノメーターの測定精度が得られることが期待できる。また、次年度以降で検討を行う2次元型素子について、基本設計を行い、計算による性能評価をすでに行っている。作製方法についても具体的な検討を進めており、プロトタイプの仕様もほぼ固まりつつある。さらに、曲面基板における描画のため、長焦点深度である硬X線集光ビームを用いたリソグラフィ技術について提案した。描画特性の評価についても着手し、平面基板上のPMMAレジストに対して、2ミクロン以下の描画分解能を達成している。以上より、研究計画全体としての進捗状況としては概ね良好であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究計画についても、計画調書に概ね則る。次年度以降では、一次元型素子の評価に並行して、二次元型素子の開発を進めていく。高精度集光評価システム用いた一次元型素子の評価を行い、評価精度の向上と評価手法の検討を進める。また、直交配置による点集光システムについても構築し、評価を行っていく。二次元型素子については、まず、曲率半径が2 mm程度の円筒、あるいは円錐形状の開放型基板を用い、プロトタイプの集光素子を作製する。一方で、微小曲率半径の開放基板について、作製法の検討を行う。また、硬X線集光ビームを用いたリソグラフィ技術については、高度化を行い、実際のプロセスへの応用を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費について、一次元素子の直交配置により点集光を行うため、配置用の冶具の作製および、下流側に設置する素子の切断加工費用について計上する。2次元集光素子について、プロトタイプ素子作製用の基板購入費用について計上する。また、次年度はX線顕微鏡国際会議の開催が予定されており、当該研究の進捗状況の公表ならびに、当該研究分野の調査研究を行うための旅費について計上する。次年度使用額が生じているが、使いきりの調整を全くしていないための必然であり、額も微額であるため、特に問題があるとは認識していない。
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Research Products
(3 results)