2011 Fiscal Year Research-status Report
Quality improvement specialist に関する研究
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23510205
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
真下 綾子 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (80551639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 ひと美 東北大学, 大学病院, 助教 (50381306)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医療・看護の質 / 質の改善 |
Research Abstract |
米国の2つ医療機関で活動しているQuality Improvement Specialistの役割、必要な能力を明らかにした。2つの医療機関とも組織の中に質改善を行うための専門の部署が位置づけられており、そこに専従としてQuality Improvement Specialist が配属されていた。主な役割として看護の質指標(NDQI)から所属医療機関とベンチマーキングされたデータを分析すること、質改善のため各病棟等にアドバイスを行うこと等であった。必要な能力としては、職種を超えて活動するためのコミュニケーション能力,具体的な質改善の知識(シックスシグマ,TQM, リーン生産方式), データ分析手法(統計解析ソフトの操作)等が必須であることが分かった。また、質改善を行う役割を担うため"Certified Professional in Healthcare Quality" として、資格制度が整えられてきていることが分かった。さらに日本で先駆的に質改善を行っている1つ医療機関での役割を担う者の活動を調査した結果、質改善の役割を担う独立した部署(TQM部)が存在し、専従の質改善を行うための職員が配属されていた。TQM部はクリティカルパスを管理、作成支援する者、感染対策、褥瘡対策、安全管理、さらに疾病統計、予期せぬ死亡・手術を含む情報管理を行う者で構成されていた。また、日本の2つの企業を対象に調査を実施した結果、質改善を行うための部署があり、全スタッフを巻き込んで経営理念や使命を周知徹底させながら問題改善に取り組んでいることが分かった。また、質改善を推進するキイとなる者は、経営品質協議会が主催するセミナーなどを通して教育を受けていた。また企業内で質改善を行うためにはファシリテーション能力や、コンサルティング能力が必須であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の予定は主に国内外において先駆的に質改善を行っている医療機関、企業にその実態を調査し、Quality improvement Specialistの役割、能力、さらに、その役割を担うための必要な教育内容を明らかにすることであった。すでに米国で2つ、国内で1つの医療機関を訪問し調査しており、予定はほぼ達成しているが、日本において先駆的な質改善に取り組んでいる医療機関がまだ存在しているため、もう1医療機関を平成24年度に訪問する予定である。さらに、企業を対象とした調査も終了しているが、米国の医療機関が日本のトヨタ方式に習い病院の理念、経営戦略をたてたうえ、質改善の手法も実施しているため、トヨタ方式をとっている企業に訪問する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、先駆的に質改善の取り組みを行っている1医療機関、1企業に訪問調査し、すべての情報を整理した上、Quality improvement Specialist に必要な教育プログラムを開発する予定である。開発の際には、看護管理学を専攻した研究者、臨床の実践家、経営学者などを交え意見交換を行いながら作成する。その後、平成25年度は、実際に研修を企画し、参加医療機関を募り、研修後の活動をモニタリングし、その成果を検証する予定である。各年度の成果は、日本看護管理学会、日本医療マネジメント学会等に報告し、今後日本の医療機関で質改善を担うためのSpecialist の育成するための資料とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、1医療機関、1企業に訪問調査するための交通費、謝金に費やす予定である。さらに教育プログラム開発を行う際に、各分野の専門家を招集するため、会議場所までの交通費、謝金等が必要である。また、教育プログラムを冊子化するための印刷代等も別途経費が必要になる可能性もある。
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