2013 Fiscal Year Research-status Report
共助力向上をめざした地域防災コミュニティ構築のための社会実験に基づく実践研究
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23510207
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
平田 京子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (70228782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20151342)
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Keywords | 地震防災 / 共助体制 / 住民主体 / 地域防災力 / 地域コミュニティ / ソーシャルキャピタル / 女性 / 避難所 |
Research Abstract |
大地震に対する防災対策の効果を上げるには、自助や公助だけでなく、地域住民の共助力の強化が欠かせない。特に首都直下地震の切迫性が指摘される中、この問題は助け合いの形が崩れている都市圏での喫緊の課題として追究が必要である。住民自身は東日本大震災の甚大な被害を目の当たりにして自助についての関心は高まったが、3年を経過して首都圏の防災意識は少しずつ低下している。共助の重要性は注目されるようになってきたが、まだ訓練が充分なされておらず、地域コミュニティレベルでの復興力や特にマンションにおける共助体制は不十分である。共助体制は発災後の迅速な人命救助、復興の加速に寄与するなど重要な課題である。そこで本研究は、共助力を高めた地域コミュニティを構築すべく、既存の地域コミュニティにおける人的交流を活性化しながら、防災面での住民の共助力を高めることを目的とする。 当該年度は3年目として、(1)地域コミュニティの防災力と共助体制の構築状況調査、(2)文京区内での共助体制の構築サポートと住民ワークショップによる啓発実践、(3)地域コミュニティの共助の代表例として避難所の運営をとりあげ、モデル地区である文京区内で実践と分析を実施した。 調査結果より、住民の共助体制の構築については高齢者世代を中心とした中では少しずつ努力が始まっているが、より若い世代と交流するための仕掛けや女性を活用する仕組みが不足していることが分かった。さまざまな人的ネットワークの存在とその課題を調査から明らかにしてきたが、特に情報や交流を盛んにするための支援方法について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象となる町会組織との良好な連携がとれており、複数の調査を実施できた。実際に地域住民が参加してワークショップ調査を実施し、その意識を把握した。さらに住民の意識を把握し、それらに関する研究成果を学会論文として発表した。研究対象である地域コミュニティの防災活動が、実際に以前よりも活性化されていることを町会および関係者からも評価されている。 このように研究成果は順調に上がっているが、町会の歩みと合わせなければならないため、今年度に地域コミュニティ対象調査を終了し、分析して、国際会議を含めた国内外の学会に発表予定であった。しかし高齢化した近隣コミュニティが対象で調査実施までに時間がかかること、連絡がとりににくく、調査が11月までずれ込んだ。アンケート調査も同様に遅くなった。一方解析用行政データが10月に得られ、解析・考察が充実した。計画を変更して考察を延長し、成果公表を26年度に行う方がよりよい研究成果が得られると考えた。 したがって予算の支出が予定よりも少額になっており、研究成果の発表ととりまとめのために、次年度に予算を一部繰り越すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
想定できる研究調査はおおよそ実施し、その分析も進んでいる。したがって、これまでの研究成果を広く学会発表、論文執筆することが今後の課題と言える。これまでの成果をまとめて、日本だけでなく世界に発信することをめざしている。 さらに次年度については、最終年度として研究分析結果のとりまとめを行い、考察を充実させるための追加調査を検討し、必要に応じて実施する。地域コミュニティの共助力向上は、実際の社会では課題が山積する状況であり、都市住民のコミュニティの希薄さに起因する解決のむずかしい課題である。この現実をふまえつつ、社会実験をテーマとした研究のあり方についても広く考察していく予定である。 また学界での研究の成果公表にとどまらず、この研究課題の成果の一部は、授業に応用しており、「自分たちで地域によりよい姿を提案し、地域に実際に解決してもらう」というコンセプトのもと、学生の主体的学習のための教材とする。すでに平成25年度の授業では、地元の住民および区の行政担当者にも参加してもらった。授業ではこれまでの研究成果を学生と住民、行政に講義し、広く還元しながら、地域の実践活動を実際に推進するために活用している。このような研究成果の応用は今後も研究推進の原動力として、活用していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に地域コミュニティ対象調査を終了し、分析して、国際会議を含めた国内外の学会に発表予定であった。高齢化した近隣コミュニティが対象であり、調査実施までに時間がかかること、連絡がとりににくく、調査が11月までずれ込んだ。アンケート調査も同様に遅くなった。一方解析用行政データが10月に得られ、解析・考察が充実した。計画を変更して考察を延長し、成果公表を26年度に行う方がよりよい研究成果が得られると考えた。 このため、アンケートも含めた調査結果の分析と地震被害データを用いた解析を継続し、成果の学会発表・論文執筆を来年度に行うこととして、未使用額はその関連の経費に充てることとした。
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