2013 Fiscal Year Annual Research Report
コーディネーション・ゲームを用いた効果的な住宅耐震化支援制度の構築と有効性の検証
Project/Area Number |
23510208
|
Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
池田 浩敬 常葉大学, 環境学部, 教授 (80340131)
|
Keywords | ゲーム理論 / 耐震補強 / 住宅 / 補助制度 / 意思決定 |
Research Abstract |
本研究においては、1)ゲーム理論における「コーディネーション・ゲーム」の理論を用い、住宅耐震化の普及・促進に対し効果的な支援制度に関する複数の代替案を構築し提案する。2)当該代替案ごとの同調効果について、静岡県をケーススタディの対象地域として、耐震化を要する住宅所有者に対する調査票調査に基づき評価し、最も効果的な制度案を選定する。3)選定された制度案について、グループ・インタビューに基づき、その有効性(耐震化行動促進効果等)を検証する。4)同制度案について、耐震化を要する住宅所有者に対する調査票調査に基づき、その制度利用意向を把握する。5)同制度案について、その実施主体となる地方公共団体(静岡県及び県内市)に対するヒアリング調査に基づき、当該制度の実現可能性について検証を行う。 このうち平成23年度は上記1)、2)を、平成24年度は3)を、平成25年度は4)、5)を実施した。具体的には、三島市に居住し旧耐震基準の一戸建ての木造住宅に居住している住宅所有者800世帯を対象とした調査票調査を実施し511世帯から回答を得た。ここでは制度利用意向把握に加え、当該制度利用以外の代替案を含む意思決定過程における代替案の評価項目の重みや評価項目ごとの代替案評価についても把握し、意思決定の構造把握を行った。また、制度案の実施主体となりうる静岡県及び三島市に対し当該制度の実現可能性についてヒアリング調査を行った。 その結果、同制度は費用面で大きな制約条件を抱えている世帯では利用意向が高いが、一方で耐震補強自体の有効性に対する評価の低さが制度利用を抑制しており、制度が十分に活用されるためには当該課題の克服が必要であることが明らかとなった。また、制度の運用については、公平性、機会均等といった条件が確実に確保されること、耐震補強の効果の評価を向上させることが前提となることが明らかとなった。
|