2012 Fiscal Year Research-status Report
高精度時系列プロテオミクスによるシグナル伝達攪乱機構のシステム解析
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23510254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾山 大明 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30422398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦 裕子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門職員 (80401256)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
近年H.pylori感染において、病原因子の一つであるCagAが胃上皮細胞内のシグナル伝達因子をチロシンリン酸化し、細胞の癌化に関与することが明らかとなってきた。本研究課題では感染による病態をシステムレベルで理解するために、H.pylori感染におけるシグナル伝達因子の時系列活性変動データを包括的に取得することを目標とする。本研究グループはこれまでにSILAC(Stable Isotope Labeling by Amino acids in Cell culture)法をベースにしたチロシンリン酸化ネットワークの相対変動解析法(Blagoev et al., Nat. Biotechnol., 22, 1139-1145, 2004)を基盤として方法論の改良に取り組み、(1)チロシンリン酸化蛋白質の包括的回収・特異的溶出法の開発、(2)溶出物の一括酵素処理によって調製されたサンプルに関するショットガン解析を行うためのnanoLC-MS/MS測定系の構築、そして(3)得られた生データから自動で相対定量を行う情報解析システムの開発を進め、サンプル調製から活性変動データの作成に至るまでスループットが非常に高い実験系を確立している(Oyama et al., Mol. Cell. Proteomics, 8: 226-231, 2009)。平成24年度は、より網羅的なリン酸化シグナルネットワークの解析に向けてチタニアカラムによるリン酸化ペプチドの精製に関する検討を行い、チロシンリン酸化のみならずセリン、トレオニンリン酸化を含めた包括的なリン酸化プロテオームデータを取得するシステムを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
nanoLC-MS/MSオンラインシステム(3台)、タンパク質同定検索エンジン(Mascot)、サンプル調製に用いる真空遠心機等、高感度プロテオミクス解析を行う全ての設備を本研究グループで現有しており、また研究分担者の秦はnanoLC-MS/MSシステムの操作技術やメンテナンス技術をほぼ完全に習得し、自在にシステムを操作することができる状態にある。従来設置されていたDiNa-QTof2(KYA technologies社、Waters社)、DiNa-QSTAR Elite(KYA technologies社、AB SCIEX社)システムに加えて精度、スキャンスピード等が大幅に改善されたDiNa-LTQ Orbitrap Velos ETD (KYA technologies社、Thermo Fisher Scientific社)システムが昨年度に引き続き順調に稼働しており、東京大学医科学研究所内のプロテオーム専用施設において安定した測定環境の中、継続的に高感度・高精度計測を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
微量蛋白質群を分子量に基づいて液中で精製することが可能なGelfree 8100 system を用いて試料の前分画を行い、分画ごとにサンプル調製及び測定を進めることにより、計測データの網羅性を更に上げる。上記で確立した大規模リン酸化プロテオミクス解析技術を用いてH. pylori 感染によるリン酸化時系列活性変動データを包括的に取得し、インジェヌイティーパスウェイアナリシス(IPA)をはじめとするパスウェイ解析ソフトウェアを用いてシグナル経路ごとのリン酸化活性変動をシステムレベルで詳細に解析することにより、感染応答によるシグナルネットワークの摂動の実態を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題で行うプロテオーム解析は高い定量精度が求められる実験系であり、測定サンプル間の相互コンタミネーションは極力抑えなければならない。そのため、nanoLCに関する消耗品(nanoLC用トラップカラム、nanoLC用分析カラム、ESIスプレイヤー)は適切な頻度で新しいものに付け替える。 その他、胃上皮細胞を培養するための細胞培養用のプラスチック製品、解析サンプルの調製に用いるリン酸化因子精製試薬、オシネジ、キャピラリー等の nanoLC関連の消耗品を購入する。 また、学会や論文における発表に関しても積極的に行う予定である。
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[Journal Article] The cancer stem cell marker CD133 interacts with plakoglobin and controls desmoglein-2 protein levels.2013
Author(s)
Koyama-Nasu R, Takahashi R, Yanagida S, Nasu-Nishimura Y, Oyama M, Kozuka-Hata H, Haruta R, Manabe E, Hoshino-Okubo A, Omi H, Yanaihara N, Okamoto A, Tanaka T, and Akiyama T.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 8
Pages: e53710
DOI
Peer Reviewed
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