2013 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレスセンサータンパク質の時空間的イメージングによるストレス応答の解析
Project/Area Number |
23510283
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田代 悦 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00365446)
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Keywords | 小胞体ストレス / UPR / 比較解析 / PERK |
Research Abstract |
小胞体の恒常性維持機構UPR (Unfolded Protein Response) は,小胞体膜上の3つのセンサータンパク質 (ATF6, IRE1, PERK) が小胞体内に蓄積した不良タンパク質を認識することで活性化し,様々なUPR関連遺伝子群の発現によって制御されている.これまで,糖鎖修飾阻害剤tunicamycinや小胞体Ca2+ ATPase阻害剤thapsigarginなど作用点の異なる様々な化合物がUPRを誘導することが報告されているが,これら作用点が異なる化合物によるUPR関連遺伝子の発現挙動の違いについて解析した例はなかった. そこで本研究は,作用点が異なるUPR誘導剤7種によるUPR関連遺伝子9種のmRNA量を化合物添加24時間後まで経時的発現挙動を測定した.その結果,それぞれ化合物による9種のUPR関連遺伝子の発現プロファイルはそれぞれ特徴的なパターンを示し,それぞれの化合物の濃度を変えた時の発現プロファイル同士が最も類似していた.よって,UPR関連遺伝子発現プロファイルの違いは化合物の作用点の違いに依存していると示唆された.さらに,化合物毎の遺伝子発現プロファイルを階層的クラスタリングにより比較解析した結果,7種のUPR誘導剤のUPR関連遺伝子発現プロファイルは3つに分類された(グループA,B,C).UPR関連遺伝子の発現は3つのストレスセンサーの活性で制御されているため,次にグループA,B,Cそれぞれに属する化合物群によるセンサーの活性を検討したところ,グループAの化合物は3つのセンサー全てを活性化させていたのに対し,グループBの化合物はPERKとATF6を,さらにグループCの化合物はPERKのみを活性化させていた.よって,ストレスセンサーの活性とUPR関連遺伝子の発現が化合物の作用点の違いによって少なくとも3パターン存在することが示唆された.
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Research Products
(10 results)